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患者からの謝礼はもらって当たり前?

 東京医科大八王子医療センターが約2年間(平成17年10月~20年1月)にわたり、生体肝移植手術を受ける患者に対し、手術直前に寄付金を募っていたという「事例」がマスコミを賑わせている。同センターは腎臓移植手術の患者に対しても、約3年間(平成17年11月~20年10月)にわたり、同様に寄付金を募っていた。

 生体肝移植の患者で寄付金を持ちかけられたのは25人(患者全員)。それに対し寄付金を払ったのは11人で、総額は1173万円強だった由(腎臓移植手術の患者からは7人計190万円を集金している)。多い人で300万円、少ない人は9000円だったという。それにしてもこの9000円という金額は、額の中途半端さからみても、その患者にとっては本当になけなしの金だったのではないかと推測される。

 センター側はあくまでも「任意」を強調しているが、患者側としては生体肝移植という大手術を目前に、藁をもすがるような気持ちでいるのが当然だ。そのことは病院の職員ならみな承知しているはずなのだ。にもかかわらず、というよりも、だからこそというべきか、そんなタイミングで寄付金を求めれば、患者側が「断れば手術をちゃんとやってもらえないのではないか」と考えても不思議ではない。患者が9000円という金額を支払った時、病院の担当者はいったいどのような顔をして受け取ったのだろうか?

 患者からの寄付金や謝礼金をもらうことについては、とにかく慣れきっているのが病院の現実だから、恐らくシレッとした表情で、何の痛痒も感じずに受け取ったのだろう。

 ちなみに同センターではもはや、生体肝移植の手術は行われていない。平成11年~19年までに手術した52人中20人が術後入院中に死亡しているためで、平成20年12月には「医師の技術力に問題があった」との報告を自ら発表したうえ、手術の実施を中止しているのだ。医師の技術力に問題のあることを気づくまでに、20人もの術後死亡(死亡率は約4割だ!)を経験しなければならなかったという事実にも慄然とする。

 その死亡患者のなかに、果たしてあの9000円を支払った患者がいたのかどうかはわからない。だが寄付金を募ったときの謳い文句は、手術の指導をした京都大学病院の医師への謝礼や、保険適用外の医薬品の支払いなどにあてるというものだったらしい。それらの措置をとった挙句の結果が「医師の技術力に問題があって手術中止」なのだ。寄付金を求められて葛藤したであろう患者や家族にはなにやら虚しさの残る話ではあろう。

 ところで今回の寄付金問題については、寄付金よりもむしろ寄付金の使い道の一つ「保険適用外の医薬品使用」が問題視されているようだ。保険診療と保険外診療を併用すると保険が効かなくなるという混合診療(前々回のこの欄に書いているので参照されたい)の問題に引っ掛かるからだ(生体肝移植手術は保険適用)。報道によればセンター側もその点ばかり気にしており、寄付金は手術直前という申し出のタイミングが「好ましくなかった」で済ませている。

 このあたりの患者の気持ちに対する想像力の鈍さにも、患者からの謝礼はもらって当たり前、寄付ももらって当たり前、国からでもどこからでももらえるものはみんなもらいたいという医療関係者間に根強くはびこる「ごっつぁん体質」が垣間見えてくるのだ。

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●自然治癒力を生かす医療は、全人的医療でしょうね。医療関係者がそれを見失っている。ヒポクラテスの誓いにある「女性に堕胎をもたらす薬は処方しません」を忘れ去っている産婦人科医の現状に、生命倫理があるのでしょうか?

「生命科学の根本原理」船瀬俊介氏ワールド・フォーラム2008年6月
http://www.youtube.com/watch?v=9fj7JZBbZlk

富家孝様

富家様はいくつもの医療機関を束ねる取締役とかプロレスドクターとして尋常ならざる大活躍をされている方のようですから今まで多くの論文を読まれており、また、お書きになられたと思いますが、それらはすべて一例報告の case report でしたか?

一医療機関の例を以て『医療関係者間に根強くはびこる「ごっつぁん体質」』と言ってしまうのは、いかがでしょう。一症例のケースが全体に当てはまるかのように論ずるのは、怪しげな「健康食品を自称する怪しげな商品群」の宣伝文句には登場するけれども、論文ではあり得ない文章です。それは主観を綴った文章であって再現性のある science を示したものではないからです。

ここは医学論文投稿の場ではないのは承知していますが、問題提起をされるからには一定の客観性は必要だと考えます。東京医科大八王子医療センターという一医療機関の事例を医療関係者間へと風呂敷を大きく広げたいのであれば、もっと多くの医療機関で術前の寄付金要求が行われていた事例を収集することが最低限必要です。

ご自分の文章と この The Journal を「怪しげな健康食品」と同等のレベルにまで貶めないでください。お願いします。それとも、富家様の経営されておられる医療機関も当然「ごっつぁん体質」なんだよ、と仰っておられるのかな?

医者を紹介してもらうのに、数十万を積んで手術をしてもらったと言う友人の話しを聞きました。彼女に言わせれば、それが医者への一般的考えとの事です。私は知りませんでしたが、日本の社会にはそう言う慣例があるのでしょう。私は知り合いの医者に親の目の手術に良い医者を教えてください、と頼みましたが、一銭も払いませんでしたが、彼女に言われて何となく患者として罪悪感を感じざるを得ません。医者へより、病院へ寄付を送るのなら、良いと思います。病院も患者からだけでなく、各方面から寄付を集める方法を考えるべきでしょうし、政府も寄付に対して免税にすべきと思います。病院はほとんどの場合、資金繰りが大変だと思います。

私も最近ある手術をしました。そこには書かれたものはありませんでしたが、よくHpには、患者様からの○○はいただきません、と断りを書かれているのを目にします。それを見るとホッとします。医者への謝礼はまた別かもしれませんが、少なくとも今までの悪習を無くすというHp側の意思は感じて安心です。外国にはああいうものは存在しません。医者とNsの立場が結構近い、力関係が拮抗していると感じさせます。(シドニーに居たとき)そういう風に医療従事者たちが、日本のように医者中心で無くなったとき、この謝礼という存在もなくなるのかなと考えています。

先ほどのGuyです。実は富家さんのブログの中に、この謝礼のことが書かれていて、唖然としました。謝礼は受けませんとか書かれているのは、実は受け取る、もしくは受け取ってきた施設であるということ。文面をそのままとるのは、世間知にかけるということでした。謝礼を出されれば、受け取らない医者はいないとも・・・。自分は世間知に欠けています。私は自分で選んだ先日からの医者については、謝礼を受け取らない医者だと信じ込んできたからです。その医師には謝礼(金銭)はしていません。そんなもの、私はスマートに思えないからです。そんな悪習に反対だからです。ただ、富家さんと対談もなさったことのあるその医師も、富家さんを信じるなら、受け取るのではと疑うと、哀しくなります。ただその医師もそのプロフィールの中で、自分は守銭奴だと(ジョークの範囲だと思いますが)書かれておられました。私には苦い思い出となりました。

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Profile

富家 孝(ふけ・たかし)

-----<経歴>-----

医師・医療ジャーナリスト。
1947年大阪市に生まれる。
1972年慈恵医大卒。
開業・病院経営・日本女子体育大学助教授を経て、現在、オフィス51取締役。
新日本プロレス・ドクター。
慈恵医大相撲部総監督。

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