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2010年4月 6日

民主より新会長誕生で、日本医師会は国民のための医療改革ができるのか?

 任期満了にともなう日本医師会会長選挙が4月1日に行われ、昨年の衆院選のときから民主党支持を標榜していた茨城県医師会長・原中勝征氏(69)が初当選した。長年にわたり自民ベッタリだった日本医師会がついに自民を見限った形だが、医師会が自民党を見限ったというより、要するに権力ベッタリの伝統を今回も守ったといったほうが正確だろう。

 国民皆保険制度を錦の御旗に、診療報酬の値上げをはじめ開業医の利権を守ることが第一義の日本医師会としては、時の権力と常に密着している必要がある。その方針のもとに会長選挙を行い、結果的に民主党支持を打ち出していた原中氏が当選したに過ぎない。昨年の衆院選で自民党が勝っていれば、前会長で自民党支持の唐沢祥人氏が当選していただろう。

 原中新会長はそれでも「民主党のいいなりになることはない。しかし、鳩山政権と一緒になって、国民の幸福を第一に考えていきたい」と就任の弁を述べた由。その言や良し――といいたいところだが、肝心の民主党、鳩山政権が青息吐息ときている。

 今年の参院選では果たしてどの政党を支持したらいいのか。新会長も含め、今から日本医師会の「次期会長になりたい人たち」は迷いに迷っていることだろう。

 それにしても民主党政権というのは、妙な政権である。狙ってやっているわけではないのだろうが、各閣僚の方向性がそれぞれバラバラ。そのバラバラぶりが、日本の政治状況を極度の混迷へと導いているわけだが、一方でバラバラぶりが奏功してか(?)、ときどきスマッシュヒットを飛ばすこともある(笑)。

 日本医師会がらみでいえば、新会長がせっかく「自民離れ・民主に急接近」を打ち出しているにもかかわらず、長妻厚労相は就任以来、日本医師会離れを思わせる動きを連発している。

 典型的なのは昨年秋、診療報酬の点数を決める中医協(中央社会保険医療協議会)の委員から日本医師会役員の3人を突然排除したことだ。その後、厚労省は新たに2人、医師会から新委員を入れたが、その唐突な排除の仕方が長妻厚労相の日本医師会嫌いをより一層に印象づけた。

 そして今年3月4日に発表された診療報酬改定(2年に1度実施)では、診療所の再診療が引き下げられるなど、全体にこれまでより日本医師会(開業医)に辛い改定となったのも周知の通りだ。

 それら一連の動きは旧自民党政権とベッタリだった唐沢会長時代の末期に、民主党政権によって行われた。今回の民主寄りの新会長誕生の背景には、あるいはそんなこともスパイスとして効いたのかもしれない。

 いずれにしろ医学界の重鎮たちが政権にすり寄り、我田引水的な利益誘導にばかり精力を擦り減らしている有様は、あまりにも情けない。国民の強い支持と信頼を背景に、本当の意味での国民のための医療改革を、どのような政権が相手であろうと常に要求していくような、そんな頼れるお医者さんたちを国民は望んでいるのではないだろうか? いうだけ、ムダだろうけれど......。

Profile

富家 孝(ふけ・たかし)

-----<経歴>-----

医師・医療ジャーナリスト。
1947年大阪市に生まれる。
1972年慈恵医大卒。
開業・病院経営・日本女子体育大学助教授を経て、現在、オフィス51取締役。
新日本プロレス・ドクター。
慈恵医大相撲部総監督。

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