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« 捜査権の介入が医療事故を顕在化させた(1)
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警察への通報規定をなくせば再び医療事故は闇に葬られる »

捜査権の介入が医療事故を顕在化させた(2)

 忘れてならないのは、九九年以降、警察が積極介入し、それがマスコミで大きく報道されたからこそ医療事故が社会の注目を浴びたという事実である。「以前は医療事故はほとんど起きていなかったが、九九年から突如、ミスが相次ぐようになった」とは誰も考えないであろう。

 前述した九九年から二〇〇〇年への届け出件数の急増は、なぜ起きたのであろうか。背景には様々な要因があるだろうが、実は届け出の約七割は、患者・遺族からではなく、医療機関側からのものなのである。

 医師法では、死体に異状がある場合、二十四時間以内に警察へ届け出るよう医師に義務づけているが、広尾病院は遺族側に促されるまでこの届け出を行っていなかった。誤って消毒液を注入したことで患者が死亡した事故を、「異状死」とはとらえていなかったことになる。その結果、消毒液を誤注入した看護師とは別に、病院長が医師法違反で書類送検され、有罪が確定した。届け出を怠ったことによる立件は、これが初めてのケースだったと思われる。病院側からの届け出急増の理由は、この事件に影響されたものだったのである。

 かつて医療機関側からの届け出がほとんどなかったのは、異状死を届け出るかどうかの判断基準を、厚生省(当時)が医療現場に委ねてきたからでもある。広尾病院事件に驚いたのは同省も同じで、この事件を受ける形で医療機関に異状死を届け出るよう指示している。本来、医療事故を把握し、改善を指導する立場の所管官庁がこうした態度であることを見ても、医療事故がいかに野放しであったかが分かる。

 統計の数字から浮かび上がってくるのは、「事件化されると思えば届け出るし、そうでなければ届け出ない」という医療機関の姿勢だ。警察が介入する危惧があるからこそ、異状死を届け出るようになり、一部とは言え実態が明らかになり始めたのである。捜査当局が現行医師法の届け出制度を担保しているといっていい。

 医師の無罪が確定した割りばし事故でも、警察が医療事故を疑い、司法解剖を行ったからこそ男児の死因が明らかになった。

 警察による積極的な介入があったからこそ起きた動きの象徴と言えるのが、厚生省が創設を目指している「医療安全調査委員会」(仮称)。
驚くべきは、公表された試案に対する一部の医療関係者の反応は、自分たちが医療の名の下に行った一切の行為を刑事責任追及の対象から外すということである。 (以下次号)

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《THE JOURNAL》では、今後もこのコミュニティーを維持・発展させていくため、コメント投稿にルールを設けています。はじめて投稿される方は、投稿の前に下記のリンクの内容を必ずご確認ください。

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ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

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医療を悪くしているのはマスコミと一部の評論家そして自分だけが正しいと思い上がっている医師。

よくテレビなどに登場する医師は「あれは未熟な医師のすることで、自分の様に技術が優れている医師はそんなミスはしない」という。

アホナ芸能番組・お笑い番組に出てくる、「あなたが医師?」と疑問を投げたくなる様な医師。頻回にテレビに登場すると医師のイメージを下げてしまうのではないでしょうか?

愚息やその同級生を見ていると皆さん一生懸命に患者さんの事を思い時間を惜しまず働いております。助けようと思い一生懸命やって、結果責任で起訴されたら本当にかわいそうだと思います。

挙句の果てにおかしな医師ばかりが残れば国民にとって不幸だと思います。悪貨は良貨を駆逐する。

官僚が内部告発すれば報奨金をだすという事が民主党で議論されているとか・・・困った事です。旧ソ連、ルーマニア、ナチスドイツ、北朝鮮の様な国が良いと言うのでしょうか?

医療にも看護婦による密告を義務付けるという案を唱える人達がいるとか、、、。何を考えているのでしょうね。昔の人間からは想像も出来ません。

>警察が介入する危惧があるからこそ、異状死を届け出るようになり、一部とは言え実態が明らかになり始めたのである。捜査当局が現行医師法の届け出制度を担保しているといっていい。

ここから導かれる結論は,本来
「異常死の届け出を担保するためには,医師法にある”異常死の届け出”に関して警察が介入すればよい」になるのが妥当と思われます.
しかし,ここで論理が唐突に飛躍して,
「異常死の届け出を担保するためには,医療行為を刑事責任追及の対象に入れればよい」となってしまうのはなぜでしょうか.
繰り返しになりますが,”異常死の届け出に警察が介入したら,病院が異常死を届け出るようになった”と富家さんはおっしゃられているのですから,(警察が異常死の届け出に介入することの善し悪しという別の問題はあるのかもしれませんがそれはおいておいて)その論理からは,”警察は異常死の届け出に介入すればよい”という結論になるのが妥当と思われますが,それが”医療行為を刑事責任追及の対象に入れればよい”という結論になるのはなぜでしょうか.

それとも,”異常死の届け出に警察が介入したら,病院が異常死を届け出るようになった”からには,
”医療行為を刑事責任追及の対象に入れたら,病院が医療事故を起こさなくなる”ということを主張されたいのでしょうか.いかがでしょうか.

もしそうだとすると,”異常死の届け出に警察が介入したら,病院が異常死を届け出るようになった”ということと,”医療行為を刑事責任追及の対象に入れたら,病院が医療事故を起こさなくなる”ということが似ていると考えられているということになると思われます.いかがでしょうか.
しかしながら,これは似ているように見えて,全く異なる事柄です.なぜなら,前者は”届けたかどうか”という形式的な事務的な事柄に関する警察の介入であり,後者は”医療行為そのもの”への警察の介入だからです.
したがって,一見似ているという理由だけでは,”異常死の届け出に警察が介入したら,病院が異常死を届け出るようになった”から,”医療行為を刑事責任追及の対象に入れたら,病院が医療事故を起こさなくなる”と考えてしまうのは,誤りのもとです.
”異常死の届け出に関する警察の介入”とは別な事柄として,”医療行為へ警察が介入し,医療行為を刑事責任追及の対象にする”と何が起こるのかという視点で,改めて考える必要があると思われます.


>驚くべきは、公表された試案に対する一部の医療関係者の反応は、自分たちが医療の名の下に行った一切の行為を刑事責任追及の対象から外すということである。

”医療の名の下に行った一切の行為”という表現は,”(医療と呼ばれるものの中に含まれている)医療行為ではない行為”の存在を示唆していると考えるのが妥当と考えられます.いかがでしょうか.
もしそのように示唆されているとしますと,富家さんが考えるところの”医療行為”と”医療と呼ばれるものの中に含まれている医療行為ではない行為”とを区別するポイントは何なのでしょうか.大変重要な部分だと思われますが,そのことに関するような記述は見当たりません.病気が後遺症がなく治癒した場合を”医療行為”と認定し,病気によって後遺症が残ったり死亡したりした場合を”医療の名の下に行った医療行為ではない行為”と認定されるということでしょうか.いかがでしょうか.

また,”一部の医療関係者の反応”ではなくて,”大部分の医療関係者の反応”が正しいと思われます.
大部分の医療関係者は自分達の仕事がしにくくなることを危惧してそのように反応しているのではありません.結果として,国民が必要な医療を受けられなくなるということを危惧していると思います.
過去に医療側とその医療を受ける側との間で不幸な事件があったことは事実であると思います.しかしながら,”医療行為を刑事責任追及の対象にする”ことが,そのような不幸な事件を本当になくすことができるのか,その一方国民が享受する医療にどのような影響を与えるのかについて,メリットとデメリットを比較し,総合的によく考える必要があると思います.
国民に正しい情報が開示された上で,国民が”医療行為を刑事責任追及の対象にする”という選択をするということであれば,それは誰も止めはしないと思います.しかし,国民に正しい情報が開示されているとは現状ではとても思えないのです.国民が判断するための正しい情報の開示がなされることが必要だと思います.


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Profile

富家 孝(ふけ・たかし)

-----<経歴>-----

医師・医療ジャーナリスト。
1947年大阪市に生まれる。
1972年慈恵医大卒。
開業・病院経営・日本女子体育大学助教授を経て、現在、オフィス51取締役。
新日本プロレス・ドクター。
慈恵医大相撲部総監督。

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