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2012年3月 8日

「社会保障と税の一体改革案」のマヤカシ(3)── 国民皆保険制度は形骸化している。混合診療をもっと増やせ!

 ここまで2回にわたって、政府と民主党政権がまとめた「社会保障と税の一体改革案」を批判してきた。この案は改革案とされ、初めて消費税の税率アップに踏み込んだことで一定の評価がされている。しかし、これで、医療を含めた社会保障制度が充実するわけではない。むしろ、医療に関しては、国民皆保険を死守することで、制度崩壊を早めてしまう可能性が高いのだ。

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2011年9月16日

「社会保障と税の一体改革案」のマヤカシ(2)

 前回は、政府と民主党政権がつくった「社会保障と税の一体改革案」(2010年代半ばまでに消費税率を10%まで引き上げ)から、医療費の負担増を取り上げ、消費税の増税が必ずしも社会保障を手厚くしないことを指摘した。消費税が5%上がるとしても、そのうちのわずか1%しか社会保障に回らないことも指摘した。
 つまり、現行の改革案でもいまの医療制度は崩壊するのだ。そこで、今回は、この問題をもう一歩踏み込んで、いったいなぜ、こんなマヤカシの改革案しかできないのかを考えてみたい。

■「社会保障と税の一体改革案」のマヤカシ(2) 
──高福祉社会は絵空事。それができるという政府・民主党はウソつき。

 まず、日本の社会保障費全体の話からすると、日本の社会保障は、 1960年代には失業対策や生活保護などが中心だった。その後、次第に医療保険や年金制度などの社会保険や、老人福祉を中心とする社会福祉、介護などに重点が移り、いまでは医療費と介護費だけで、社会保障費の約半分を占めるまでになっている。

 これは、急速に進んだ高齢化が最大の原因であると言われている。とすれば、高齢化は今後も進むから、じつはこの問題の解決策は、本当を言うと一つしかない。ハッキリ書くが、公的な社会保障制度(医療や年金)は、一定限度まででストップし、あとは国民の自己責任に任せるしか方法はないのだ。
 要するに、国民全体が等しく負担する健康保険や公的年金制度は、最低限の保障しかしない。あとは、各自勝手にやってくださいということだ。

 2011年7月に発表された政府の試算では、自己負担も含めた医療・介護費が、2011年度は計48兆円。これが15年後の2025年度には、なんと83兆円になる。これは国家予算に匹敵する額だから、現在の制度では破綻は確実である。2015年に消費税を10%に上げられたとしても、単に焼け石に水なのである。
 現在、医療費は、毎年約1兆円のペースで増え続けている。これを税金投入と負担増で賄うことは、もう不可能なのである。

 それなのに、「社会保障と税の一体改革」では、医療・介護分野の見直しとして、医療、介護、予防サービスなどが切れ目なく一体的に提供される「地域包括ケア」体制の構築が打ち出されている。たとえば、人口1万人程度の小・中学校区にあたる日常生活圏域ごとに、「地域包括ケア」が実現し、人々は安心して老後を送れるというのだ。
 ところが、この理想的なシナリオ実現のためには、2025年度には税金負担を36兆円規模まで増やさなければならない。そんなことが、はたしてできるだろうか?

 いずれにせよ、こうした理想の実現のために、増税以外に「効率化」策というものが打ち出された。「効率化」というのは、社会保障の分野では、給付カットと同義。つまり、無駄な給付を削ることを指す。たとえば、要介護認定者数を3%程度減らすなどの施策である。
 今後は、高齢者数が増え、地域包括ケアの目玉とする24時間巡回型訪問サービスは、2015年度は1万人。2025年度だと15万人まで利用者が増えるとされる。まずこれを、少しでも少なくするというのだ。

 また、一般の医療でも、医療機関に長期入院されると費用がかさむので、急性期の平均在院日数は、大学病院などの高度急性期が15〜16日、一般急性期で9日程度と現状より20〜33%程度短縮することが計画されている。
 しかし、このようなことは、ストレートには表現できない。そのため、「病院ごとの役割分担を徹底する」などと言い方を変えている。つまり、発症間もない急性期の患者らが入院治療を受ける医療機関を、高度、一般、亜急性期・回復期(リハビリ専門)と再編し、「手厚い看護体制で早期退院できるようにする」というのだ。 

 ところが、このような「効率化」は、いずれも当初案に比べると、腰砕けになった。初めは「効率化3本柱を示す」とミエを切っていた菅首相は、効率化が給付カットと知るや「支え合い3本柱」と言葉を変えて、社会保障の充実化をはかることばかりを強調、負担増には一切触れなくなった。
 また、民主党内は「負担増はまかりならん」「給付はもっと手厚くしろ」との声ばかりで、「効率化」案は結局後退してしまった。
 つまり、なんの財源の裏付けもないのに、バラまきをする。そうして、「安心できる社会をつくる」というマヤカシを、彼らはいまでも言い続けているのである。
 
 現在、社会保障の世界では、「弱者の排除」がじわじわ進んでいる。一般サラリーマン(正規雇用者)が減り、労働者の3分の1を非正規雇用が占めるような社会となり、国民健康保険の保険料が払えず、無保険の人が増加している。「国民皆保険」制度は足下から崩れている。

 だから、経済面から国家制度を見る経済産業省(産業構造審議会基本政策部会)は、民主党の改革案と対抗するように、社会保障改革の中間案をまとめた。そこには風邪などの軽い病気には医療保険を適用せず、全額自己負担とする案が書かれていた。要するに、風邪ぐらいは自分で治せ、病院に来るなということだ。もちろん、保険適用外の高額治療費を払えるお金持ちは例外だ。
 いつまでも実現不能なマヤカシばかり続けていると、本当にこういう社会になるだろう。もはや日本では高福祉社会は絵空事。現行の制度では、高負担・低福祉にならざるを得ないのだ。

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2011年7月14日

「社会保障と税の一体改革案」のマヤカシ

 政府と民主党政権は7月初めに「社会保障と税の一体改革案」をまとめた。これで、「2010年代半ばまでに消費税率を10%まで引き上げ」は、たとえ政権が代わろうと既定路線になったが、これで、未来への展望は開けるのだろうか? ここでは3回に分けて、年々膨らむ医療費の面から、この改革案(?)を考えてみたい。

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2011年4月 5日

東日本大震災の教訓、日本は一刻も早く「病院船」を持て!

 今回の東日本大震災では、医療救助の遅れも大きな問題となった。被災地にある病院から運ばれた患者が、十分なケアを受けられず死亡したり、ライフラインが止まったために災害拠点病院でも患者に対応できなかったりした例が相次いだ。それでも、阪神大震災のときよりは、全国各地から医療チームが即座に派遣されたりしたので、災害医療は進歩したとされる。

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2011年1月14日

医者を増やせば医療崩壊を解決できるのか?(4)── フリーター医師の増加は過酷な労働が原因か?

 医療崩壊が言われて久しいが、その背景には深刻な「医師不足」があるとして、現在、わが国は医者の数を増やそうとしている。しかし、医者の数を増やせば、それで医療崩壊を解決できるのかと言えばそうではない。

 今回は、激増中のフリーター医師の問題について考える。

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2011年1月11日

医者を増やせば医療崩壊を解決できるのか?(3)── 深刻化する小児科医不足、解決策はあるのか?

 医療崩壊が言われて久しいが、その背景には深刻な「医師不足」があるとして、現在、わが国は医者の数を増やそうとしている。しかし、医者の数を増やせば、それで医療崩壊を解決できるのかと言えばそうではない。

 今回は、前回の産婦人科医に続き小児科の問題について考える。

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2010年11月 7日

医者を増やせば医療崩壊を解決できるのか?(2) ── 出産難民と不人気科目:なぜ産婦人科は嫌われるのか?

 医療崩壊が言われて久しいが、その背景には深刻な「医師不足」があるとして、現在、わが国は医者の数を増やそうとしている。しかし、医者の数を増やせば、それで医療崩壊を解決できるのかと言えばそうではない。
 今回は、いまや激減している産婦人科医の問題について考える。

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2010年11月 2日

医者を増やせば医療崩壊を解決できるのか?(1) ── 医学部の定員増が決定!しかし、それだけで問題は解決しない

 医療崩壊が言われて久しいが、その背景には深刻な「医師不足」があるとして、現在、わが国は医者の数を増やそうとしている。しかし、医者の数を増やせば、それで医療崩壊を解決できるのかと言えばそうではない。

 そこで、今回から6回に分けて、この問題を追求していきたい。

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2010年5月21日

「不服を申し立てない」の同意書は有効か?

 患者が病院で治療や検査、手術などを受ける際には、いわゆるインフォームドコンセントを受ける。医師が治療、検査、手術などの内容と必要性についての懇切な説明を行い、同時に患者がその説明内容について納得したうえで、治療、検査、手術などの実施内容に同意をする。このような流れによるインフォームドコンセントの実施は、医療行為の重要な要素として国から義務付けられてもいる。

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2010年5月 5日

患者からの謝礼はもらって当たり前?

 東京医科大八王子医療センターが約2年間(平成17年10月~20年1月)にわたり、生体肝移植手術を受ける患者に対し、手術直前に寄付金を募っていたという「事例」がマスコミを賑わせている。同センターは腎臓移植手術の患者に対しても、約3年間(平成17年11月~20年10月)にわたり、同様に寄付金を募っていた。

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Profile

富家 孝(ふけ・たかし)

-----<経歴>-----

医師・医療ジャーナリスト。
1947年大阪市に生まれる。
1972年慈恵医大卒。
開業・病院経営・日本女子体育大学助教授を経て、現在、オフィス51取締役。
新日本プロレス・ドクター。
慈恵医大相撲部総監督。

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