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事件 アーカイブ

2007年10月16日

奈良・供述調書漏示事件の周辺

草薙厚子さんが書いた『僕はパパを殺すことに決めた』(講談社)は、2006年に奈良県で起きた16歳(当時)の少年による事件を扱ったものだ。少年は自宅に放火、義母と妹、弟が焼死している。草薙さんに供述調書を渡したことが刑法の秘密漏示の容疑だとして少年を鑑定した精神科医が逮捕された。ここには重層的な問題がある。

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2007年1月21日

「でっちあげ」の構図

 読んでいて不安になってくる本に出会ってしまいました。福田ますみ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』(新潮社)です。テレビ、週刊誌、新聞で報じられていることがどこまで事実なのか。いやいや、そんな他人事ではありません。あのとき何とコメントしたのだろうかと朧な記憶を蘇らせていたのでした。「もしそれが事実だとしたら」という限定的な言葉を添えていても、厳しく糾弾したはずです。報道されていたことが捏造であったならば、あのときのコメントは無実の人物を傷つけただけでは済みません。マスコミも世間もすでに忘れている「事件」が起きたのは、いまから4年前のことでした。

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2006年8月25日

ジョンべネ事件の「真相」

 ジョンべネ事件の犯人逮捕報道に呆れた。タイで容疑者が逮捕されたことにコメントをする「識者」の無知さ加減にである。あるコメンテーターはDNA鑑定が飛躍的に精度を増したので今回の逮捕につながったなどと語っていた。そんな事実はない。DNA鑑定は容疑者がアメリカに移送されたこれから行われるのだ。10年前にいちばん多く時間を割いて報じていたのは、現場となったコロラド州ボルダーを除けば、日本のテレビだった。当時はワイドショーが主体だったけれど、今回は「ニュースステーション」までがこの事件を大々的に取り上げていた。オウム事件以来変化したのはニュース番組のワイドショー化だ。日本のさまざまな問題を差し置いて、ジョンべネ事件を取り上げる根拠は、世間の関心なのだろう。事件には多くの謎があるからだ。

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2006年5月27日

秋田事件の解決は近い?

 秋田で起きた小学生殺害事件の現場があわただしいことは、最近の週刊誌でも紹介されているとおりです。それらを読むと、「犯人」が誰であるか見当が付くような書かれ方がされています。実際にある人物の周辺にはマスコミが遠巻きにして、いつでも逮捕の瞬間を捉えることができる体制が取られているのです。まるで和歌山カレー事件の再来です。いったいなぜこんな情況にあるのでしょうか。ここではメディアの問題ではなく、事件捜査の現状について触れることにします。22日朝にも逮捕されるという情報が流れたことにも、ある根拠があったのです。

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2006年1月29日

「ハーレム男」の古典的手法

 57歳の自称占い師の男が11人の女性と同居し、結婚、離婚を繰り返していることが話題となっている。女性は一人の50代を除けば残りは20代。男性はこの集団に誘われた20歳の専門学校生を脅迫した容疑で逮捕された。事件の概要を語った捜査幹部が「うらやましい」と正直に語ったように、「ハーレム男」と呼ばれた男性の生活ぶりは、ワイドショーだけでなく、ニュースでも繰り返し報じられている。しかし、その内容は興味本位の域をまったく出ておらず、必要な分析などが行われることなく、すぐに消費されていく。

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2005年12月15日

犯罪連鎖の土壌

 広島、茨城と小1女児が殺害される痛ましい事件が起きて、この国はいったいどうなっているのだと思っていた矢先に京都でも小6女児が塾講師に殺害された。「またか」と痛感したのは、子供が犠牲になったということだけではなかった。塾講師の「23歳」という年齢が気になった。そして思いだしたのは次のような言葉だ。
「少年の予備軍はいくらでもいる。土壌が同じだからです。もし社会が有効な対応を取ることができなければ、同じような事件は必ず起こるでしょう」
 発言者は神戸児童殺傷事件の少年(当時14歳)を担当した精神科医のひとりだ。こう「予言」したのは97年秋のこと。少年は関東医療少年院で治療を受け、「育て直し」を終えたうえで、今年のはじめからある土地で働いている。給料から毎月5000円を被害者遺族のために「貯金」しているという。いま23歳だ。そう、京都で事件を起こした塾講師と同い年なのだ。「またか」と思ったのはマスコミが気づいていない問題がここでも現れたからだ。象徴的な表現をすれば「1997年の14歳と2005年の23歳」である。言葉を変えれば、95年に起きたオウム事件の精神的影響という問題点である。

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Profile

有田芳生(ありた・よしふ)

-----<経歴>-----

1952年京都生まれ。
フリーランスのジャーナリスト。

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オフィシャル・ウェブサイト
「有田芳生の今夜もほろ酔い」



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