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島田裕巳の中沢新一批判にふれて

 金平茂紀さんが都立西高で隣のクラスだった島田裕巳さんの新刊『中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズムについて』(亜紀書房)に触れて「極度の後味の悪さ」と書いています。金平さんは明示していませんが、おそらく島田さんに中沢さん批判を求めた時代的•情念的な何ものかが、論理よりも性急さを生んだことへの違和感を表明したのではなかったでしょうか。

 いま大型書店に行けば中沢さんの新刊に並んで島田さんの新刊が置いてあります。島田さんの論理や論拠については検討が加えられればいいことだと思いますが、ここで金平さんに賛同するのは、学者としての誠実さということです。オウム事件をきっかけに職を失った島田さんは3年をかけて『オウム なぜ宗教はテロリズムを生んだのか』(トランスビュー)と題した大部の著作を発表しました。

 そこではなぜ自分がオウムの危険性に気付かなかったのかという自己切開がありました。まさに「学者としての誠実さ」が示された力作です。しかしこんどの中沢批判は島田さんご本人がわたしに語ったように「どうしても書かざるをえないもの」だったようです。金平さんが今度の著作に「極度の後味の悪さ」を感じた根拠はそんなところにあると推測します。中沢さんの「すべて」の著作物を読了吟味した成果はどのように評価されるのでしょうか。

 地下鉄サリン事件が起きた直後、中沢さんは東京地検に自ら駆けつけます。捜査に協力したいと申し出たのです。その動機はどこにあったのでしょうか。事件当日に謀略的な犯行声明(結局は蒔かれなかった)を作成したという麻原彰晃側近との親交など、中沢さんがご自身で口を封じた事実も数々あるはずです。金平さんが「諸君」の発言を読んで以来、中沢さんの著作を読まなくなったというのも、そこに学者としての誠実さを見出せなかったからなのでしょう。

 だとするならば「極度の後味の悪さ」を感じる方もいるでしょうけれど、島田さんの新刊には意味があるのだと思うのです。そういえばオウム真理教に対する強制捜査が行われた日のこと。わたしに「ニュース23」に出演するように電話をくれたのが金平さんで、同席したのが中沢新一さんでした。もう12年も前のことです。人は往く道のところどころでそれぞれの岐路を選択するもの。時間はそう教えてくれます。

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有田芳生(ありた・よしふ)

-----<経歴>-----

1952年京都生まれ。
フリーランスのジャーナリスト。

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「有田芳生の今夜もほろ酔い」



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