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死刑が確定した教祖の裁判

 麻原彰晃こと松本智津夫被告の死刑が確定した。

 裁判の焦点は二つ。被告人に訴訟能力はあるのか、弁護団の控訴趣意書の未提出は法的に認められるものであったのか。一審で死刑判決を受けたことに対して弁護団は控訴。しかし、東京高裁が設定した提出期限(05年8月31日)に弁護団は文書を提出しなかった。刑事訴訟法によりこの一点をもって控訴は棄却できた。現実に控訴は棄却され、弁護団は最高裁に特別抗告したのだが、それも棄却され、死刑が確定した。ところが弁護団は「東京高裁は一方的に棄却することはしないと約束していた」と主張。しかし、口頭での約束は、それが破られても、道徳的に批判されても法的に拘束力はない。かくて死刑が確定した。

 問題は麻原彰晃の精神状態だ。東京高裁が鑑定を依頼した精神科医は「訴訟能力あり」、弁護団依頼の7人の医師はすべて「なし」。真っ向から判断は異なった。「読売新聞」は9月10日の1面トップで「松本被告『おれは無実』」「訴訟能力裏付けか」「控訴棄却後『決定の意味理解』」と書いた。最高裁が特別抗告を却下する方向を強く示唆したのだ。しかし東京拘置所の記録では、明確なコミュニケーションがあったという情況はない。控訴が棄却された4日後のこと。寝ころんでいた麻原が座って足のあたりを掻きながら「おれは無実だ」などという言葉を発しただけなのだ。

 「訴訟能力あり」とした精神科医との間でも会話はいちども成立していない。専門家の間でも意見が対立したときに、法の厳正な適用という視点だけではなく、可能なかぎり打つべき手を実行することが必要だったと思う。1審の初期や破防法弁明で、麻原彰晃は滔々と語っていたのだ。それが沈黙へと変化したのは、拘禁反応と自己逃避だった可能性が高い。国際的に注目される歴史的裁判ゆえに、精神科医などによる専門的治療がなされるべきであった。半年で好転するという意見が多かったからだ。

 カルト教祖はほら吹きだ。治療効果があり、控訴審でコミュニケーションのできる情況が生れたとしても、本当のことを語ることは期待できなかっただろう。しかし「これ以上時間の無駄」とはわかっていても、為すべき課題が強引に断ち切られてしまった問題は残る。はたして麻原彰晃は詐病だったのか、それとも精神に異常をきたしていたのか。後世まで続くもはや解けない謎である。
 

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有田芳生(ありた・よしふ)

-----<経歴>-----

1952年京都生まれ。
フリーランスのジャーナリスト。

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「有田芳生の今夜もほろ酔い」



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