« 2006年4月 | メイン | 2006年6月 »

2006年5月27日

秋田事件の解決は近い?

 秋田で起きた小学生殺害事件の現場があわただしいことは、最近の週刊誌でも紹介されているとおりです。それらを読むと、「犯人」が誰であるか見当が付くような書かれ方がされています。実際にある人物の周辺にはマスコミが遠巻きにして、いつでも逮捕の瞬間を捉えることができる体制が取られているのです。まるで和歌山カレー事件の再来です。いったいなぜこんな情況にあるのでしょうか。ここではメディアの問題ではなく、事件捜査の現状について触れることにします。22日朝にも逮捕されるという情報が流れたことにも、ある根拠があったのです。

 それは被害者のランドセルから指紋が採取されたことです。家族や本人のものではない第三者の指紋が検出されました。さらに遺体遺棄現場に残された十台ほどのタイヤ痕の分析です。もうひとつは現場に残っていた足跡でした。大人の男性の複数の足跡に加えて、いささか小さなものもありました。端的にいって女性だと思われる足跡です。それらがある意外な人物と「すべて」一致したというのです。能代署はこうした状況証拠を根拠としてある人物を逮捕する検討に入ったのです。ところがそれに「待った」をかけたのが秋田県警と警察庁でした。なぜなら指紋やタイヤ痕などは状況証拠にすぎず、それらが合致しているからと追及しても言い訳ができる立場の人物だからです。

 警察庁は松本サリン事件のようになってはならないと判断したのです。河野義行さんのように冤罪の可能性があるからです。「決定的な証拠を探せ」そうした指示のもとに逮捕は見送られ、いま捜査が続行されています。遺体を包んだ毛布のようなものの繊維の分析は終わったようです。いまは遺体に付いていた家族以外の毛髪のDNA鑑定が行われています。これが「決定的証拠」となる可能性が高いといいます。捜査本部は室内で殺害され、車で遺棄されたと「見立て」ています。子供受難の時代にあって、一つひとつの事件を確実に解決して行くことが、小さなものかも知れませんが抑止力になるのだと思います。

2006年5月 4日

「上祐グループ」の嘆き

 オウム真理教(アーレフ)の上祐史浩代表が「脱会」して新しい教団を作ると報じられました。新聞も通信社も誤報です。彼らが脱会などするはずがないからです。そもそも脱会とは、組織を離れるかどうかというところに基準はありません。オウムでいえば、麻原彰晃を信仰の対象にするかどうかが脱会の基準となります。たとえ組織から離れたとしても、信者であることはいくつもの例が示しているところなのです。ようするに頭のなかが問題なのです。こんどの動きは、「上祐グループ」の内部文書では「独立」と表現されています。客観的に見れば、組織の分化、分割です。
 

 オウム真理教がアレフ、そしてアーレフと名称を変更したとき、内部で会議が行われました。2000年1月の会議で、上祐史浩氏は、これから表向きには教祖=麻原彰晃を外すことを提案しています。そこには、いまや「反上祐グループ」の「顔」である村岡達子氏も出席しています。しかし、あくまでも社会に向けての戦術にすぎなかったのです。村岡氏たちは、麻原彰晃を隠すことに反発を持ったのでした。そんな対立のすえに、2003年10月に、上祐史浩代表は「修業に入る」といって、教団運営から身を引きました。「できることならやってみろ」という心境だったのでしょう。

 しかし、ここで「魂とめし」の問題が出てきます。「魂」である麻原彰晃の教えをどうするかという路線対立は平行線でした。ここで問題が出てきました。「めし」をどうするか。教団財政は「反上祐グループ」が握っているからです。上祐史浩代表にすれば、財政が自由にならないことは我慢ならないことだったのでしょう。しかも、内部で説法をすれば野次が飛ぶような感情的対立にまで発展して行ったのです。なかには「上祐毒殺計画」を語る信者まで生まれているのです。これがオウム真理教(アーレフ)の現状です。

 いずれ「上祐グループ」は独立し、独自の財政基盤を確立するため出家信者の獲得に力を注ぐことでしょう。何しろ勢力からいえば1割ほどなのですから。「反上祐グループ」は3割、「中間派」が6割です。これからどうなるのか。出家信者約1650人のなかには嫌気がさして組織から離れる者もいるかもしれません。感情的対立から内部で「事件」が起こる可能性もあるでしょう。麻原彰晃=松本智津夫被告の死刑確定を前に独立を計っているという解釈や団体規制法逃れという解釈は、後知恵だと思います。いちばんの問題はあくまでも「めし」の確保にあるのです。そこまで「上祐グループ」が追い込まれているのです。

Profile

有田芳生(ありた・よしふ)

-----<経歴>-----

1952年京都生まれ。
フリーランスのジャーナリスト。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
「有田芳生の今夜もほろ酔い」



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.