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犯罪連鎖の土壌

 広島、茨城と小1女児が殺害される痛ましい事件が起きて、この国はいったいどうなっているのだと思っていた矢先に京都でも小6女児が塾講師に殺害された。「またか」と痛感したのは、子供が犠牲になったということだけではなかった。塾講師の「23歳」という年齢が気になった。そして思いだしたのは次のような言葉だ。
「少年の予備軍はいくらでもいる。土壌が同じだからです。もし社会が有効な対応を取ることができなければ、同じような事件は必ず起こるでしょう」
 発言者は神戸児童殺傷事件の少年(当時14歳)を担当した精神科医のひとりだ。こう「予言」したのは97年秋のこと。少年は関東医療少年院で治療を受け、「育て直し」を終えたうえで、今年のはじめからある土地で働いている。給料から毎月5000円を被害者遺族のために「貯金」しているという。いま23歳だ。そう、京都で事件を起こした塾講師と同い年なのだ。「またか」と思ったのはマスコミが気づいていない問題がここでも現れたからだ。象徴的な表現をすれば「1997年の14歳と2005年の23歳」である。言葉を変えれば、95年に起きたオウム事件の精神的影響という問題点である。

 わたしがまず気になったことは、神戸の少年の「犯行ノート」(97年3月16日の少女殺害事件からの記述)に「バモイドオキ神」「聖なる儀式アングリ」「聖名」という言葉があったことだ。ノートには彼が想像のうえで作り上げた「バモイドオキ神」が描かれていた。仏像である。ここにオウム報道の影響はなかったか。坂本弁護士一家殺害事件の実行犯だった岡崎一明(死刑確定)の教団名が「アングリマーラ」だったことも「聖なる儀式アングリ」と奇妙に符合した。何よりも決定的だったのは「聖名」だ。オウム真理教のなかで麻原彰晃が信者に与えた教団名は「ホーリーネーム」で、日本語にすれば「聖名」である。

 わたしは少年のなかにオウム報道の影響があるのではないかと思った。そこで担当精神科医から長時間話を聞くことにした。もちろん事件の原因は単純ではない。しかし、その要素のなかに「オウム」的なるものはあったのかどうか。結論的にいえば精神科医の判断では「あった」という。テレビ報道を無批判に受け入れた少年は、「あの程度(注、オウム事件のこと)なら許されるのではないか」と思ったという。テレビという装置に事件を起こしたと思われていた教団幹部が登場し、反対派と対等に議論をしていた姿が少年の意識に「あの程度なら」という理解を生んだという。わたしの理解では「暴力性」の植え付けでもあった。

 それから2年。1999年から2000年にかけて「17歳の犯罪」が全国で多発した。愛知県豊川市では「ひとを殺す経験がしたかった」と高校生が見知らぬ主婦を殺害、佐世保の少年はバスジャックを決行し、主婦を刺殺した。このとき逮捕された少年たちの多くが97年の神戸事件をネットなどで調べていたことも明らかとなった。神戸の少年が好んでいた「13日の金曜日」というホラービデオもまた同じように見ていた者も複数いる。ある少年などは「酒鬼薔薇聖斗(神戸の少年がバモイドオキ神から与えられた「聖名」)のようになりたかった」と供述している。このときの「17歳」とは実は神戸の少年と同い年であった。

 そして今回の京都事件である。14歳が17歳になり、23歳になった。もちろん一部の少年の問題であるにしても、この10年の日本社会のなかで彼らの内面に植え付けられた「何か」にメスを入れることが課題である。京都医療少年院の岡田尊司さんの著書のタイトルを借りれば『脳内汚染』(文藝春秋)である。95年にオウム事件が起こり、その一端の影響を受けて神戸事件が起き、さらに「17歳の犯罪」へと進み、いままた京都で事件が起きた。あの「タリウム少女」(16歳)もまたブログ日記では神戸の少年を意識していることを明らかにしていた。犯罪精神の連鎖というものがあるとすれば、外からは見えないその土壌にまで立ち入らなければ、効果的な防止策とはならないだろう。

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「バモイドオキ神」の成立は、一神教のある一面を捉えているように思える。しかし決定的に足りなかったものもある。この差は一体何なのだろうか。 [詳しくはこちら]

コメント (3)

まずは オウム徹底解明と解体

そして 少年への教育のあり方を
考え直す時期ですね

やはりオウムの影響が色んな人にでてるんですね 怖いです。

>社会が有効な対応を取ることができなければ、
>同じような事件は必ず起こる

その有効な対応とは何でしょうか?
これほどたくさんの情報が氾濫している世の中で、
正しい情報といらない情報を取捨選択する事は難しく、
歪んだ情報さえ素直に消化してしまう子供たちに大人は一体何をすればいいのでしょう?

社会全体でもっと危機感を持ち、
大掛かりな対処方法を考えなければならない時期に来ていると思います。

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有田芳生(ありた・よしふ)

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1952年京都生まれ。
フリーランスのジャーナリスト。

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