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森里海連環学 アーカイブ

2012年3月19日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.34

何故、"森里海連環学"なのか ―文化教室で会いましょう―

フランスでは高校で、午前中は座学、午後は森へ行くというプログラムが試みられているそうだ。カナダでは医者たちが真剣に、「子どもたちに野外で学ぶことが足りない病」というのを研究しているという。

私がこの連載で紹介してきた「森里海連環学」は、2003年に京都大学で誕生した。ヒラメの研究者と、人工林の研究者竹内典之先生が、「21世紀は、20世紀が失ったものを取り戻す学問が必要」と考えられたのだ。

私は、島根県では高津川流域でこの学問を竹内先生と広めてきた(高知県では仁淀川流域で、そして北海道では紋別市でも)。

この連載に「自然に学ぶ」と付けたのは、森と川と海の連なりやつながりを取り戻すための学問こそ、自然の中で体感し、会得してもらいたいと考えたからだ。

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2012年2月28日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.33

再生エネ立国の現状 ―デンマーク紀行―

1月22日から、デンマークへ行ってきた。

世界規模で起こった1970年代の2回のオイルショックがあって、ヨーロッパはじめ世界各国は原発開発を進めた。その中で、九州とほぼ同じ面積のデンマークでも15個の原発計画が作られていたが、ロラン島に計画されたものに住民が強く反対し、国との話し合いのために、73年に委員会が設置された。

話し合いの結果、代替エネルギーとして「風力発電」が選ばれた。以来、デンマークからは原発計画が全くなくなった。

そのロラン島に行ってみると、島は、「風力」だけではなく、「R(リニューアル)水素」「畜産糞尿(ふんにょう)からのバイオガス」「藁(わら)を中心とするバイオマス(木質)」などの発電の開発先端都市になっていた。

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2012年1月14日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.32

総合特区に当選―「森里海連環」思想で

昨年12月22日に、今年4月から始まる国の事業・内閣府「総合特区」の当選事業体が発表され、島根県高津川流域の「益田地域広域市町村圏事務組合」(益田市、津和野町、吉賀町)が全国26カ所の一つに選ばれた。

「総合特区」とは、地域の包括的なチャレンジを、規制の緩和、税制と財政と金融措置による支援をして、効率のよい発展が地域でできることを目指すもの。

高津川では、京都大学が2003年より提唱している「森里海連環学」が総合特区を考える上で採用され、申請タイトルは「森里海連環高津川流域ふるさと構想」とされた。

私は06年にこの「森里海連環学」を高津川流域の皆さんにお伝えし、この連載のタイトルにもなっているし、同名のカルチャー教室も高津川流域で展開してきている。

そのご縁から昨年、「総合特区」が本年に誕生することをお教えして、このたび、見事当選したというわけだ。


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2011年12月18日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.31

写真集「高津川」 ―大規模なダムがない?―

島根県の高津川の3度目の「清流日本一」のお祝いに、写真集「高津川」が出版された。

美しい写真は地元のフォトクラブ、落ち着いた文章は地元NPOの方々の執筆で、見て読んで楽しい一刊に仕上がっている。

ただし、2点だけ残念に思うことがある。発刊に努力された方々には、気を悪くされずに読んでほしい。

私は、2003年に「日本の名河川を歩く」(講談社+α新書)という一刊をつくるため高津川を初めて訪れた。

全国の天然アユが溯(さかのぼ)る河川を調べると91カ川しかなく、その中から10本の名川を選ぶため、10項目各5点ずつの採点をした。「ダムがない」「水質がよい」「川魚を食べる文化が残っている」などの10項目で、高津川は43点を取り、日本一になった。

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2011年11月20日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.30

三賢人との対話 ―キーン先生"森の仲間"に―

ドナルド・キーン先生が日本国民となることを決意され、帰ってこられた。アメリカ人で、日本文学と日本文化の美しさを、世界への"懸け橋"として最も的確に紹介してくださった先生はこれまで、日本と母国を往復する生活をなさっていたが、今年の1月に東京で入院され、その時に「最後に過ごすのは日本」と考えられていたそうだ。

3月11日に三陸の津波の映像をアメリカで見られ、「日本国民を励ましたい」と思われて、日本国籍の取得を発表された。

「フクシマ」原発の爆発で、多くの外国人が日本から逃げ出した。その時、C.W.二コルさんは、「僕は、絶対逃げ出さない。僕は日本人だからね」とおっしゃった。

その後、キーン先生の日本国籍取得が発表された時に、喜んだのが二コルさん。二コルさんは2002年に、キーン先生との対談本「ボクが日本人になった理由(わけ)」を出版されている。イギリスのウェールズに生まれたニコルさんが1995年に日本人となられた理由(わけ)と、今回キーン先生が日本人になられた理由(わけ)は、同じではないだろうか。お二人とも、日本人はもっと自国の文化や自然を大切にしてほしいと考えておられると思う。

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2011年10月23日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.29

耐震改修大勉強会 ―高知は山に家をつくる―

国土交通省住宅局の中に、「"木の家づくり"から林業再生を考える委員会」をつくっている。2009年12月に「森林・林業再生プラン」ができ、「10年後に木材自給率を今の倍以上の50%にする」ことが目標にされたが、林野庁の委員会では、その材の出口が考えられていなかったからだ。

この委員会は、養老孟司先生を委員長とし、私が委員長代理を務め、「耐震改修を進めること」、「二地域居住を進めること」をテーマにした。

そして、その活動の中から、今度は「"木の家"耐震改修推進会議」をつくっていった。今年1月17日に神戸では、阪神大震災から16年目のメモリアルとして、「耐震改修大勉強会in神戸」を開催して、1千人の大工・工務店・設計士・建築家の皆さんを集めた。

この10月9日には、その二回目として、南海地震が予想されている高知で、「耐震改修大勉強会in高知」を行い、「推進会議」の議長である養老先生や、日本一の地震学者で京都大学の前・総長であられる尾池和夫先生においでいただいて、600人を集めた。

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2011年9月19日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.28

SEA TO SUMMIT ―高津川を遊びつくせ!―

「"SEA TO SUMMIT"in高津川」が今月23、24日の両日、島根県の高津川流域で開催される。

SEA(海)からSUMMT(山の頂)までの55㌔をカヌー、自転車、走りで駆けるこのイベントは、大阪が本社の世界的アウトドアウエアメーカー「モンベル」社の辰野勇会長が発案し、3年前から全国で始まった。

高津川河口から海へカヌーで漕(こ)ぎ出し、上流へ10㌔。次は自転車で35㌔。ブナ林の安蔵寺山ステージでは秋の訪れが始まっていることだろう。73チーム171人の選手が全国から出場する。

昨年は、大会後の抽選会でシーカヤック(カヌーの一種)をゲットした吉賀町役場チームは、今年はその艇で出場。益田市の福原慎太郎市長は2人乗りのカヌー。自転車は市長、安蔵寺登山は秘書が挑むそうだ。2人は完走できるだろうか?

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2011年8月11日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.27

再び「清流日本一」に! ―"森里海"の連環を取り戻そう―

2007年、08年の発表では連続して「日本一」になっていた高津川が今年、再び「清流日本一」に返り咲いた。

「日本一」になれなかった09年に、流域の島根県吉賀町の婦人会は、川の漁協、森林組合、行政と協力してEM(有用微生物群)団子を作り、川に投入するという活動を始めた。

EM使用は、以前より旧柿木村では有機農業から始まってきており、婦人たちは、風呂や台所からもEM活性液を投入していた。津和野町でも、婦人部が続けてきていた。

「再び、清流日本一を」は、この数年、高津川を愛する人々の共通の想(おも)いであった。「EM」については、理解ができない方もいらっしゃるようだが、「納豆」や「味噌(みそ)」を作るのと同様の自然界の力を結集させたものであり、マイナス作用があるとは思えないが、使い続けなければ、水質に変化を起こすほどの効果は出ないというものだ。

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2011年7月18日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.26


三つの勉強会と「鮎喰い」 ―「二地域居住」の実践も―

6月24日から3日間、島根県の高津川を舞台に三つの勉強会などを行い、3軒の店で"天然アユ(鮎)のフルコース"を食した。

24日は、林野庁から木材産業課長・渕上和之氏においでいただき、勉強会「高津川流域からもっとたくさんの材を出すために」を行った。

25日は、千葉から78歳の「日本不耕起栽培普及会」代表の岩澤信夫氏においでいただき、「"究極の田んぼ"不耕起栽培」講演会を開催し、吉賀町と益田市の5ヵ所の田んぼを見て回った。来年から両地域で「不耕起田んぼの市民農園」をつくる。

26日は、裏匹見峡に養老孟司さんにおいでいただき、広島市民を2台のバスで運び、みんなで「ゾウムシ」探しをした。養老さんは「現代にも"参勤交代"を」が持論。広島市内の自然の少ない環境に住む都会人も、月に1度ぐらいは匹見峡などの自然の中に出掛けたりして心身を健康にし、田舎にも災害時などに避難できる拠点をつくっておいてはいかがかという提案だ。

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2011年5月16日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.24

国際森林年に想う ―「道のがっこう」開校します―

今年は、26年ぶりの国連の「国際森林年」である。私は、日本の委員の一人となった。

私たちの委員会では、テーマを二つにした。一つは、一般向けに、「森を歩く」。日本人の多くが意外と森を歩いていない。森林率は67.4%、世界第3位というのに、日本の森は日本人にあまり「愛されていない」ような気が私はしている。

それに比べると、ドイツでは多くの人が毎日森へ向かって歩く。都市の中にも、森と、森に至る小径(こみち)がある。産業革命時の19世紀にドイツは、「黒い森」と呼ばれるほど濃かった緑を、エネルギーとして使い果たしてしまった。ドイツ国内に今ある日本の人工林と同じ面積の1千万㌶の森は、すべて、それ以降に造られた人工林。なくしてしまった森を、反省を込めて100年をかけて復活させた歴史が、「森を大切にする民族」に、ドイツ人を育てたのかもしれないといつも想(おも)っている。

日本人が、特に子どもたちが、森を愛してくれる人間に育つように、今年日本は、「森を歩く」をテーマにしたのだろう。

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2011年4月19日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.23

総理からの電話 ―"森のエネルギー"と生きる―

3月21日に、菅直人総理から、私のケイタイへ電話があった。

3月11日の東日本大震災が起きてから18日まで1週間、総理は官邸に詰められ、歩いてたった3分の自宅、公邸には帰られなかったという。「1週間ぶりに公邸へ戻り、風呂に入ったんだ。毎日ほとんど寝てないけど、現地の人たちのことを思うと、あれもしてあげたい、これもしてあげたい、こうもしなければと、寝てはいられない。原発も大変。しかしこんな時に総理でいるのも、神様からのおぼしめしかもしれないと、頑張ってるから、安心して。それより、あなたにお願いがある。『今、林業からできること』というのをまとめて、官邸のFAXに毎日送ってくれないか」と。

翌日には、第一報をFAXした。「三陸バイオマスタウン構想」だ。

今回、津波の被害を受けた三陸海岸。ここで大きな被害を受けた一つに、「セイホク」などの製材所がある。もともと外材の輸入基地だった工場群だが、それを近年、林野庁が国産材のスギを加工するために造り替えてもらってきた。そこが、軒並みやられてしまったのだ。

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2011年4月10日

自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.22

ごみ少ない高津川 ―流域民の生き方映す―

私のニックネームは"あまご"。名付け親は、文学の師・故開高健(かいこう・たけし)さん。私の名の前後で"天子"となるのと、初めてお会いした日に、ずっとアマゴ釣りのことを楽しそうに話したからだそうだ。

アマゴは日本列島では、太平洋に注ぐ神奈川県酒匂(さかわ)川以西の川に棲む。酒匂川以東の太平洋側と日本海側の河川にはヤマメが棲んでいる。この棲み分けを調べたのは故今西錦司さん。京都大学で「文化人類学」を創設された方でもある。

同志社大学の1回生の時にアマゴ釣りを覚えた私は卒業後は就職せず、今西先生が会長を務められていた「ノータリンクラブ」という釣りクラブに所属して、紀伊半島などを渡り歩いていた。「釣りをする人間なんてものはみんなノータリンさ」ということらしいが、なぜか納得できる(笑)。

さて、一般的には3月1日が解禁日の渓流釣り。私の今年の初釣りは、ヤマメ狙いの高津川か、アマゴ狙いの高知県仁淀川。どちらか水況の申し分のない方に向かうことにしている。あなたは、どちらへ?

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2010年12月23日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.19

「二地域居住」モニターツアー ―田舎へ人を戻すため―

養老孟司さんが提唱し、島根県の高津川で「清流高津川を育む木の家づくり協議会」と流域自治体がその実現に向けて会議を重ねているのが、「現代の"参勤交代"」。官僚の皆さんの行政用語では「二地域居住」という。

都会に住む人が、休みの度に田舎に通ううちに、"終(つい)の棲(す)み家"を見つけ、いつかは定住する。フランスなどは1970年代から政府が、都市に集中し過ぎた人口を田舎に戻す政策をとってきたが、日本はそれが遅れ、しかも合併なんかしたものだから、田舎が疲弊してしまって、どうしようもないところまでいってしまっている。"限界集落"などという言葉は、哀(かな)しい。

養老さんを委員長にいただく高津川流域の委員会では、益田市が中心となって「二地域居住」への取り組みが進んでいる。

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2010年11月18日

自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.18

ドイツの「小さな庭」―健康増進政策の基本

ロシアに続いて、ドイツへは、10月21日からの5日間、クラインガルテンを見に行ってきた。

クラインガルテンは、「小さな庭」という意味。ドイツでは産業革命で空が汚れ、子どもたちの健康が心配されたときに、シュレーバーという医師が提唱して、都市の中につくられ、そこでは、野菜、果実、花をつくることが決められた(まじめなドイツ人らしいね)。

集合住宅の2階以上に住む国民には(移民でも)誰でも持つ権利があり、月に3千円くらいの負担で100坪(約330平方㍍)ぐらいの土地が借りられ、人々はそこに小さな小屋を建て、畑や庭をつくっている。都市住民の健康を考えての政策「市民農園」だ。都市の中に緑をつくる政策でもある。ドイツ全土に120万ユニットあり、利用者は300万人を越えている。

ラウベと呼ばれる小さな木の小屋には、泊まることは禁止されている(ドイツ人は何でも規則で決めるのが好きだね)。旨(うま)いビールを飲み過ぎて健康を害さないようにということだろうか(笑)。

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2010年11月 1日

自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめ No.17

小屋付きの畑―欧州人の"参勤交代"

ロシアへ、9月27日からの3日間、ダーチャを見学に行ってきた。

ダーチャとは、ロシア国民の8割が持っているという小屋付きの畑。都市の集合住宅に住み、庭も畑も持たない人々が、健康のためや、自分の食べる野菜をつくるためのもの。

帝政時代からの歴史があり、「ダーチャ」とは「ダーチ(与える)」すなわちピョードル皇帝が家臣に与えたとの名に由縁するのだが、ゴルバチョフ時代の25年前につくられたものが多い。「ペレストロイカ(改革)」が行われ、ソ連からロシアへ移行した経済危機の時代は、このダーチャがあって、人々は自分の食べるジャガイモをつくることができたので生き延びることができたと言われている。

ロシアは、このダーチャ。ドイツはクラインガルテン。イギリスはアロットメントガーデン。

日本以外の各国では、都会で集合住宅2階以上に住む人々に対しては、政府が国民の健康のために、郊外に、小さな庭を、安く貸してくれる政策が取られている。

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2010年9月18日

自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめ No.16

高津川SEA TO SUMMIT―環境シンポ、ライブも

「サミット」は、世界の首脳が集まるものだが、頂上という意味である。

「高津川SEA TO SUMMIT」は、18日から19日にかけて海から頂を目指して繰り広げられるアウトドア環境イベント。高津川河口からカヌーで出発し10㌔。バイク(自転車)に乗り換えて35㌔。途中からはハイク(徒歩)で10㌔。ブナの森・安蔵寺山1236㍍の山頂(サミット)を目指す62組134人の強者(つわもの)ども。

アウトドアウエアメーカーのモンベルが呼び掛け、島根県や高津川流域の3市町の行政の若者たちが実行委員会をつくって、組み立ててきたものだ。

19日の62組のレースはもう締め切られているが、18日の「環境シンポジウム」と「南こうせつ環境ライブ」は、入場を募集中。

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2010年8月 9日

友釣り入門  アユとの知恵比べ

8月1日に、わたしがコーディネーターを務める文化教室「自然に学ぶ"森里海連環学"」(山陰中央新報社主催)では、高津川中流域の島根県津和野町日原で、「初心者友釣り講座」を行った。

高津川が、もっと美しく、もっと元気でいるためには、川の石についているコケを食べてくれるアユがたくさんいて、それが最上流まで溯上(そじょう)してくれる方がいい。夏に川の中がピカピカなのは、アユが石を掃除してくれるからだ。

アユの友釣りは、つりの中でも、人間とアユが"知恵くらべ"をする頭脳ゲーム。それを好む人は、アユの習性をよく研究し、常に川の状態をよく見る癖がついている。いわば"川のご意見番"ともいえる。

そんな釣り人が、若い人の間にも、釣りをしない人の間にも増えることは、近年、秋には51日間の全川全面禁漁に取り組み天然アユの回復に取り組んだり、堰堤(えんてい)の魚道の"近自然工法"による改造や、婦人会とともにEM(有用微生物)による水質浄化に取り組んだりしている高津川漁業協同組合を励ますことになるに違いないと考える。

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2010年7月17日

自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめ No.13

近自然工法を使おう―川を愛するならば

高津川の大支流、吉賀町柿木村から流入する福川川にある坂本頭水工のほとりに立つこのお二人は、東海大学の先輩と後輩。右の人物は、高津川漁協のアユセンター長の田中誠二さん、左は高知市からおいでいただいた「西日本科学技術研究所」の福留脩文所長。二人は、この頭首工の魚道を改修する相談をしている。

福留さんのことを、私やC.W.ニコルは「川のお医者様」と呼んでいる。「近自然工法」という手法で、コンクリート化してしまった自然を元にもどす仕事をされているからだ。

「近自然工法」はスイスに生まれ、それを福留さんが日本に持ち帰り、1991年からは建設省(現・国土交通省)河川局が、「多自然型川づくり」として採用してきた。

高津川は、二度も国土交通省の「水質日本一」を取ったのだが、私から見ると水質がイマイチ。本流にダムを造らせなかった代わりに、各所で電力や農業用水のために水が取られ過ぎているからだ。

また、この坂本頭首工や電力のための堰堤に造られてきたほとんどの魚道が、魚が溯(のぼ)れる機能を有していない。造った当時の技術者たちに自然への知識がなかったからだろう。

東海大学海洋学部に学んだ田中さんは、「アユがどこまでも溯ってくれると、水質は良くなります」とおっしゃる。そうなのだ。アユは石についたコケを食べて生きる。だから夏になると川はピカピカになる。古いコケもアユが食べてくれるからだ。

田中さんら漁協が福留先生に魚道を直してもらうには、地域に住む人達が「川を直したい」という総意を強く示す必要がある。

2003年に成立している「自然再生推進法」は、国、県、地元の負担が等分にあることが求められているからだ。ふるさとの川を再生するために、自分が払った税金を使う。こんな当り前のことのために、首長や行政が動くように働きかけることが、川やアユへの自分の愛情表現だと、真剣に考えてみませんか。

川には、住む人の心が映るといいます。高津川が大好きになって通い始めた私の目には、流域の男たちが少し"引っ込み思案"に見えます。愛するモノを本当に守ろうとする時には、普段は取らなかった行動もとる必要があるのでは。

あなたは、アユを愛していますか?川は?
皆さんの少しずつの行動が、川をよみがえらせますよ。

2010年4月18日

自然に学ぶ"森里海連環学"

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学" No.11

アユ溯る―川の民英断実ったか


今年は既に2月23日に、高津川への天然アユ溯上(そじょう)が確認されている。

河口から数キロ上流の安富橋の毎年天然溯上を確認する地点で、5~6グラム、体長は8~10センチに見えるアユが、100匹ほど見え、漁協職員がカメラに収めたのだという。

高津川漁協でアユセンター長の田中誠二さんは「今年は例年より1カ月も早い遡上です。体長も、例年よりだいぶ大きい。雪が少なかったことも影響しているかもしれませんが、これが、反対はあってもここ2年間、10月11日から11月30日を『全川全面禁漁』にして、アユの産卵場も整備した効果が出て、最近は全く姿を消していた、『早期産卵アユ』が再現したものかどうか。アユを川から採取して耳石を検査し確かめてみたいのですが、あれから水が高くてアユをとれないのです」と、おっしゃる。

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2010年3月13日

自然に学ぶ"森里海連環学"

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学" No.10

森林・林業再生

「森里海連環学」を2003年に京都大学で誕生させたのは、人工林研究者と、ヒラメの研究者。

その人工林研究者が、今は名誉教授となられた竹内典之(たけうち・みちゆき)先生。昨年より私や養老孟司先生と一緒に、「清流高津川が育む家づくり協議会」の委員として、高津川に通っておられる。

竹内先生と私は、高津川流域の県や市町で働く若手を募って、「フォレスター養成講座」を組織している。

ドイツなど林業先進国では、国にも、州にも、地方自治体にも、"フォレスター"と呼ばれる公務員がいて、地域の森林所有者の相談に乗っている。国の森林計画がまずあり、州(日本では都道府県)にも国と調整済みの計画があり、だから市町村はこうしようという計画がきちんとあって、それに基づいて、「あなたの森は、今回はこのように間伐をしましょう」と指導してくれるのだ。

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2010年2月27日

mont-bell広報誌「OUTWARD」連載 45号・46号

森里海連環学のススメ Vol.1

「サケが、森をつくっていた」

 森の中に、何かが腐ったような異臭がただよっている。歩みを進めると、それが私の探していたものだとわかった。サケだ。ここはカナダのブリティッシュ・コロンビア州、クラッセ川。2002年、9月26日のことである。
 このサケは、クマが川で獲り、森へ運んだ。他のクマと争わないで食べるためだ。
 カナダでは、さまざまなサケの産卵シーズンの40日間に、クマが一年間の食糧の四分の三をサケで得(と)る。40日間でおよそ700匹のサケを、一頭のクマが食べるという。だから一本の川をテリトリーとしているたくさんのクマは、この時いっせいに川に出撃する。しかし隣のクマと争っていたのでは一日18匹のサケは獲れないし、食べられない。冬眠前の貴重な食糧獲得行動である。

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2010年1月15日

自然に学ぶ"森里海連環学"

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学" No.9

「生物多様性年」  一からやりなおす

「生物多様性条約第10回締結国会議」が10月18日から名古屋市で開催され、日本が議長国を務める今年は、おそらく各新聞社でも年頭から"生物多様性"という言葉を使う紙面が増えるだろう。

「生物多様性条約」は、1992年にブラジルのリオデジャネイロで行われた「国連環境開発会議(地球サミット)」で、「国連気候変動枠組み条約」とともに採択され、168カ国が署名したもの。条約は93年に発効し、現在は191の国と地域が参加している。

私はその92年のリオデジャネイロに、川の非政府組織(NGO)として参加し、現地でシンポジウムを組み立てた経験を持っている。

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2008年9月21日

第5回時計台対話集会

来る9月28日(日)、京都大学フィールド科学教育センターによる第5回時計台対話集会“森里海のつながりを生物多様性から考える”が開催されます。

皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

http://www.fserc.kais.kyoto-u.ac.jp/main/centernews/h20/08news10.html

日  時 : 平成20年9月28日(日)13:30~17:00
会  場 : 京都大学百周年時計台記念館
        百周年記念ホール
        〒606-8501 京都市左京区吉田本町
共  催 : 京都大学フィールド科学教育研究センター
       京都大学生態学研究センター
後  援 : 日本財団
       京都府教育委員会
       京都市教育委員会
協  賛 : 株式会社 村田製作所
       全日本空輸株式会社
       NPO法人 エコロジー・カフェ
       サイファーアソシエーツ株式会社(順不同)
問い合わせ先:京都大学フィールド科学教育研究センター
       TEL.075-753-6414・6420 FAX.075-753-6451
       E-mail:johoの後に@kais.kyoto-u.ac.jp を付けて下さい。

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2008年3月21日

養老先生

3月15日に、京都大学へ養老孟司先生のおいでを願った。2004年より私が応援している京大の“森里海連環学”「時計台集会」のパネラーとしての登場だ。

今年の時計台集会のテーマは養老先生にちなんで虫。「虫が教える“森里海連環”」というわけだ。

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2007年11月 8日

第3回 HOP“森の教室”in法然院

    第3回  HOP“森の教室”in 法然院

京都東山三十六峰のひとつ、善気山の山麓にある法然院さまのご協力を得て、「木の国のこれから」を考えるHOP”森の教室in法然院”。 第3回目を、下記のとおり開催いたします。この小さな芽を、ご一緒に大きく育てていきませんか。

日時 2007年11月23日(祝)PM5:00~7:30
場所 法然院本堂(京都市左京区鹿ヶ谷)

募集人員・・・ 200名    
参加費用・・・ 1,000円(当日)

基調講演 
  「“古事の森”をつくる心」   立松和平

パネルディスカッション
  「21世紀を“緑の時代”に」
  パネラー
   立松和平
   梶田真章(法然院貫主)
   石出和博(建築家・NPO法人森をたてようネットワーク理事長)
進行   
   天野礼子(アウトドアライター)

お申し込みは下記のフリーダイヤル、FAXまたはホームページから
Eメール  info@mori-net.org
TEL 0120-55-2486  FAX 075‐257-3074
ホームページ http://www.mori-net.org/
(住所・氏名・電話番号を書いてお送りください。)

<後 援>
林野庁近畿中国森林管理局  北海道  京都市  (社)京都モデルフォレスト協会  日本経済新聞社
京都新聞社  きょうとNPOセンター  NHK京都文化センター  京都北海道クラブ  ハウジングオペレーションInc.

<主催> NPO法人 森をたてようネットワーク

詳しくはこちら

2006年12月30日

第3回時計台対話集会

 京都大学が2003年に提唱した「森里海連環学」の3回目の“対話集会”が、12月23日に時計台記念ホールで開催され、430名を超える観客が近畿圏の他、北海道、新潟、千葉、長野、福井、三重、愛媛、高知、沖縄から駆けつけてくださいました。

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Profile

天野礼子(あまの・れいこ)

-----<経歴>-----

アウトドアライター。
1953年、京都市生れ。
中、高、大学を同志社で過ごす。
19才より釣りを始め、文化人類学者の今西錦司博士の主宰された「ノータリンクラブ」に属して、国内外の川、湖、海辺を釣り歩く。
26才より小説家、開高健に師事。
1988年には師と共に長良川河口の堰建設反対に立ち上がり、「ダムは不用」の国民世論に育て上げる。
近年は「川を再生するには森を生きかえらせることが必要」と“森仕事”へ視野を広げて、日本の森から材が出る社会システムを作り直すことを各地で提案している。
京都大学が2003年に構築した「森里海連環学」の普及もお手伝いするため、高知新聞社と山陰中央新報社でカルチャー教室「自然に学ぶ“森里海連環学”」を続けている。
2001年より、高知県・仁淀川の源流にも家を借り、有機農業普及のための「高知439国道有機協議会」を07年に立ち上げて、事務局長を務めている。08年7月に養老孟司氏らと「日本に健全な森をつくり直す委員会」を設立した。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
http://www.uranus.dti.ne
.jp/~amago/


長良川河口堰建設をやめさせる市民会議
http://nagara.ktroad.ne.jp/

公共事業チェックを求めるNGOの会
http://kjc.ktroad.ne.jp/

日米ダム撤去委員会
http://damremoval.com/

市民版憲法調査会
http://www.kenpou.com/

-----<著書>-----


『“林業再生”最後の挑戦』
2006年11月、農山漁村文化協会


『だめダムが水害をつくる!?』
2005年10月、講談社+α新書


『「緑の時代」をつくる』
2005年5月、旬報社


『ダム撤去への道』
2004年5月、東京書籍


『日本の名河川を歩く』
2003年7月、講談社+α新書


『市民事業』
2003年4月、中公新書ラクレ


『ダムと日本』
2001年2月、岩波新書


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