自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめ
山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめ No.13
近自然工法を使おう―川を愛するならば
高津川の大支流、吉賀町柿木村から流入する福川川にある坂本頭水工のほとりに立つこのお二人は、東海大学の先輩と後輩。右の人物は、高津川漁協のアユセンター長の田中誠二さん、左は高知市からおいでいただいた「西日本科学技術研究所」の福留脩文所長。二人は、この頭首工の魚道を改修する相談をしている。
福留さんのことを、私やC.W.ニコルは「川のお医者様」と呼んでいる。「近自然工法」という手法で、コンクリート化してしまった自然を元にもどす仕事をされているからだ。
「近自然工法」はスイスに生まれ、それを福留さんが日本に持ち帰り、1991年からは建設省(現・国土交通省)河川局が、「多自然型川づくり」として採用してきた。
高津川は、二度も国土交通省の「水質日本一」を取ったのだが、私から見ると水質がイマイチ。本流にダムを造らせなかった代わりに、各所で電力や農業用水のために水が取られ過ぎているからだ。
また、この坂本頭首工や電力のための堰堤に造られてきたほとんどの魚道が、魚が溯(のぼ)れる機能を有していない。造った当時の技術者たちに自然への知識がなかったからだろう。
東海大学海洋学部に学んだ田中さんは、「アユがどこまでも溯ってくれると、水質は良くなります」とおっしゃる。そうなのだ。アユは石についたコケを食べて生きる。だから夏になると川はピカピカになる。古いコケもアユが食べてくれるからだ。
田中さんら漁協が福留先生に魚道を直してもらうには、地域に住む人達が「川を直したい」という総意を強く示す必要がある。
2003年に成立している「自然再生推進法」は、国、県、地元の負担が等分にあることが求められているからだ。ふるさとの川を再生するために、自分が払った税金を使う。こんな当り前のことのために、首長や行政が動くように働きかけることが、川やアユへの自分の愛情表現だと、真剣に考えてみませんか。
川には、住む人の心が映るといいます。高津川が大好きになって通い始めた私の目には、流域の男たちが少し"引っ込み思案"に見えます。愛するモノを本当に守ろうとする時には、普段は取らなかった行動もとる必要があるのでは。
あなたは、アユを愛していますか?川は?
皆さんの少しずつの行動が、川をよみがえらせますよ。






