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自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.25

木質バイオマス復興なるか ―顔晴(がんば)っぺ東北!―

宮城・岩手の被災地を、「日本に健全な森をつくり直す委員会」でお見舞いしてきた。

これらの三陸海岸は、明治29(1896)年、昭和8(1933)年、昭和35(1960)年にも、大津波でたくさんの人命を失ってきている。最後の昭和35年は現地での地震ではなく、遠く離れたチリでの大地震による津波が日本の太平洋沿岸に来襲すると考えず、津波警報を発令しなかった気象庁の失態である。

岩手県大船渡市三陸町吉浜地区では今回、1人の行方不明者で済んだ。明治時代の村長判断で、高台に住宅を移すということがしっかりなされていたからだ。

一方、全国の3割を生産していたという「セイホク」などの合板メーカーが被災された地を見てみると、海岸に造成された工業団地で、おそらく埋め立て地だろう。経済的な理由もあるかもしれないが、同じ場所に工場を再建されようとしている。三陸に住む人々は、リアス式海岸という、V字形で津波に襲われやすいが"海の幸"の授かり物があるこの地を捨てないという覚悟で住み続け、仕事を続けるという御覚悟なのだろう。

福島第1原発事故で浜岡原発を停止させた菅直人総理は、フランスでのサミットで、2020年代には、総電力に占める"自然エネルギー"の割合を少なくとも20%を超える水準まで拡大すると公約した。

林野庁ではそれを受けて、林業・木材産業・山村の復興と再生のために、"木質バイオマスエネルギー"モデルを提案している。

被災した合板や製紙工場が、木材の乾燥時には木の枝や皮を燃やす"木質バイオマスエネルギー"使用にかねてより転換(以前は重油を使う工場も多かった)していたことを生かし、乾燥時に出る熱や蒸気を地域に供給する「社会システム」を、水産加工会社や、温室ハウスを使うJAなどと話し合ってつくる"木質バイオマスエネルギー都市"構想だ。

私は、05年に、オーストリア政府の協力を得て、アイゼンカッペルという人口2千人の山里を見ている。森林率85%、人口が20年で23%減少した小さな村が、「地域集中熱供給システム」をつくったことで蘇(よみがえ)っている。

わが「日本に健全な森をつくり直す委員会」は09年に、「石油に頼らず、森林(もり)に生かされる日本になるために」を政府に提言している。

日本は、世界第3位の森林率、地熱、潮力、川を殺さない小水力、太陽光、風力によって生かされることを、もっとしっかりと考えておくべきだったのではないか。

「顔晴(がんば)っぺ!」と、東北人は自らこの漢字を使い始めた。日本人なら誰でも、いつか自分も地震に遭うことを考えて、しっかり生きよう。

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私は、バイオマスエネルギーに反対です。あなたのブログで、「森里海連環学」と言う言葉を初めて知りましたが、そう、その通り、自然界は、森と里と海の連環で初めて機能しています。木質バイオマスという概念が、本来腐らされて投棄されてしまう建築廃材などを対象にしてそこから熱エネルギーを取り出し活用しようという発想なのですが、実はこれ間違いだと考えています。日本の里山や、森林に一歩足を踏み入れて下さい。そこで踏みしめる落ち葉の層の厚さです。ほんの数十センチしかありませんね。それは、人の手が入らない全くの原生林でも同じ事です。腐植の堆積が驚くほど少ないのです。熱帯雨林はもっと少ないと言います。つまり、森林の落ち葉も、倒木も、森林の中で微生物たちによって分解されてしまって、落ち葉の堆積が一定量以上に増えて成長することはないのです。地中の微生物は、膨大な生命活動の起点です。この微生物が、食物連鎖の起点になって、他の生物の食物になり、その生存を支えます。或いは、嫌気性で分解されて、一部はメタンガスなどにもなりますが、水中に大量の栄養塩を供給して、植物プランクトンを大量に発生させます。そのプランクトンも又、他の生物たちの重要な栄養源です。我々が住む温帯の原生林の腐植が増えずにバランスしていると言うことは、実は自然界では、その生産物はバランスして余剰がないことを示しています。人間は、自然界から、建築用材や、食料や、あらゆる素材を取り込んで生存していますが、それは取りも直さず、全く余剰のない環境から、本来自然界の取り分であるはずの自然界の栄養塩を収奪して初めてその生存が支えられているのです。それこそが、「森里海連環学」の原点のなのではありませんか。建築廃材といえども、本来は、どこかで、倒れて腐植となって自然を養うエネルギー源であったはずではありませんか。単に、生産地と、消費地がかけ離れているから、その循環が見えないだけなのです。人間が消費する、食物、穀物や野菜や果物も同じ事ですね。そのどれもが自然界の贈り物です。それを消費したら、排泄物としてその余剰分は自然界に戻されます。それを。江戸時代には、肥料として自然界に戻して活用していました。或いは、汚穢船で海洋に投棄して海洋に栄養塩を還元して連環を維持していたのです。今それを、大量の電力を使って、強制的に酸化して、水と炭酸ガスに分解して、残った汚泥は石油を使って焼却して、その灰も又埋め立てて自然界から隔離してしまっています。
 おかしいですね。本来、人間の生存も又、自然界の連環の一部なのではありませんか。確かに、生ゴミは、都市部では持って行きどころのない余剰物です。でもそれは、生産地の農地から収奪された、本来自然界に戻されるべき大切な栄養塩なのです。
 建設廃材といえども、有機物として自然界に戻さなければ、きっと地球上のどこかの自然が破壊されます。バランスが崩されます。
 何故なら、自然界に「余剰]はないからです。その事を、原生林の腐植は物語っています。
 実は、化石燃料こそが、自然界で利用されずに残った「余剰物]なのです。その廃棄物である炭酸ガスは、植物にとっては、命の源なのです。炭酸ガスは、決して植物にとって害毒ではないのです。
 そんなわけで、私は、バイオマスという概念に反対します。それが、サトウキビの滓でも、塩水に浸かった建築廃材でも同じ事です。皆貴重な自然界のエネルギーになるべきものなのです。
 如何お考えですか。

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Profile

天野礼子(あまの・れいこ)

-----<経歴>-----

アウトドアライター。
1953年、京都市生れ。
中、高、大学を同志社で過ごす。
19才より釣りを始め、文化人類学者の今西錦司博士の主宰された「ノータリンクラブ」に属して、国内外の川、湖、海辺を釣り歩く。
26才より小説家、開高健に師事。
1988年には師と共に長良川河口の堰建設反対に立ち上がり、「ダムは不用」の国民世論に育て上げる。
近年は「川を再生するには森を生きかえらせることが必要」と“森仕事”へ視野を広げて、日本の森から材が出る社会システムを作り直すことを各地で提案している。
京都大学が2003年に構築した「森里海連環学」の普及もお手伝いするため、高知新聞社と山陰中央新報社でカルチャー教室「自然に学ぶ“森里海連環学”」を続けている。
2001年より、高知県・仁淀川の源流にも家を借り、有機農業普及のための「高知439国道有機協議会」を07年に立ち上げて、事務局長を務めている。08年7月に養老孟司氏らと「日本に健全な森をつくり直す委員会」を設立した。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
http://www.uranus.dti.ne
.jp/~amago/


長良川河口堰建設をやめさせる市民会議
http://nagara.ktroad.ne.jp/

公共事業チェックを求めるNGOの会
http://kjc.ktroad.ne.jp/

日米ダム撤去委員会
http://damremoval.com/

市民版憲法調査会
http://www.kenpou.com/

-----<著書>-----


『“林業再生”最後の挑戦』
2006年11月、農山漁村文化協会


『だめダムが水害をつくる!?』
2005年10月、講談社+α新書


『「緑の時代」をつくる』
2005年5月、旬報社


『ダム撤去への道』
2004年5月、東京書籍


『日本の名河川を歩く』
2003年7月、講談社+α新書


『市民事業』
2003年4月、中公新書ラクレ


『ダムと日本』
2001年2月、岩波新書


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