Calendar

2011年5月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

« 自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ
メイン
自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ »

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.24

国際森林年に想う ―「道のがっこう」開校します―

今年は、26年ぶりの国連の「国際森林年」である。私は、日本の委員の一人となった。

私たちの委員会では、テーマを二つにした。一つは、一般向けに、「森を歩く」。日本人の多くが意外と森を歩いていない。森林率は67.4%、世界第3位というのに、日本の森は日本人にあまり「愛されていない」ような気が私はしている。

それに比べると、ドイツでは多くの人が毎日森へ向かって歩く。都市の中にも、森と、森に至る小径(こみち)がある。産業革命時の19世紀にドイツは、「黒い森」と呼ばれるほど濃かった緑を、エネルギーとして使い果たしてしまった。ドイツ国内に今ある日本の人工林と同じ面積の1千万㌶の森は、すべて、それ以降に造られた人工林。なくしてしまった森を、反省を込めて100年をかけて復活させた歴史が、「森を大切にする民族」に、ドイツ人を育てたのかもしれないといつも想(おも)っている。

日本人が、特に子どもたちが、森を愛してくれる人間に育つように、今年日本は、「森を歩く」をテーマにしたのだろう。

もう一つのテーマは、「"森林・林業再生プラン"実行元年」。

私が事務局長を務め、養老孟司氏が委員長を、C.W.二コル氏が副委員長を務める「日本に健全な森をつくり直す委員会」の、「石油に頼らない―森林(もり)に生かされる日本になるために」という提言書がきっかけで2009年12月に生まれた"森林・林業再生プラン"は、「10年後には日本の森から今の倍の材が市場へ出せるようにする」という森林作業目標。これまでは「スギ1本と大根1本が同じ価格」と言われていたが、それは私たち日本人の"工夫"が足りなかったのと、第2次世界大戦後に大量に植えられた人工林が使いごろに育っていなかったからだったと明らかになった。

そこで。小さな面積の森林所有者をとりまとめ、森に、仕事がしやすい「作業道」を網の目のように張り巡らせるということをきちんとすれば利益が出るということを、私もお手伝いして、この5、6年広めてきた。

「森林・林業再生プラン」は、国家がそれを大規模に、きちんとやってゆくという宣言である。昨年は、林野庁内に「プラン」実行に向けて五つの委員会がつくられ、私は「路網・作業道委員会」の委員を務めた。その委員会で決めたことの一つが、写真のような幅2.5㍍、のり面1.5㍍の高さの、小さくて、丈夫な作業道造りに税金をつけることだった。

写真の作業道は、奈良県の岡橋清元(きよちか)氏がつけたもの。この岡橋さんと私はまもなく「道のがっこう」を、林野庁にも協力いただいて奈良県の吉野林業地で開校する。

急傾斜、多雨、多破砕帯。日本のスギ・ヒノキの名産地は条件が厳しい。そんなところへつける道を学ぶ人よ、きたれ!

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/8059

コメント (2)

■コメント投稿について編集部からのお願い

《THE JOURNAL》では、今後もこのコミュニティーを維持・発展させていくため、コメント投稿にルールを設けています。

一、コメント欄は匿名掲示板ではありません。投稿は本名(もしくはペンネーム)でお願いします。

一、コメント欄は投書欄ではありません。記事と関係のないコメントや長文(400字以上)のコメントは、内容に関係なく削除する場合があります。

一、コメント欄は噂話を書く場所ではありません。ネット上とはいえ、公的な場である以上、事実関係に誤りがあるコメントは公開できません。情報元のソースはできるだけ開示してください。

一、コメント欄はフラストレーションの発散場所ではありません。感情的な非難や誹謗中傷は受け付けません。なお、最低限のマナーが守られている投稿であれば、記事に批判的なコメントでも削除することはありません。


そのほか、詳細は下記リンクにも掲載していますので、投稿前にご確認ください。

http://www.the-journal.jp/contents/info/2009/07/post_31.html

ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

この投稿が反映されるかは、オーナーに一任します。
昨日に環境省から今回に被災地を国定公園化しようとする提案がなされたと聞き及びます。
従来の国定公園では、開発に制限が多く、確かに環境保全とむやみやたらな開発との折り合いがありますが、規制が強いと言うことは其処に住む住民に多大な負担を掛けることも間々あります。
私自身は、どちらかと言えば自然回帰派ですが、其処に住むには、ある程度の開発はやむをえないと考えている一人です。
森を維持するためにも、今やある程度の道は必要でしょう。
以前なら、伐採した木材を川に流すこともできましたが今やそうした物流はできない状況です。
国策として、森林を守るとなれば、多大な国費が必要です。民需に頼るところもあるだけに、より多くの規制を掛ける内容のように私は感じられるのです。
規制がすべて悪といっているのでなく。必要最低限は必要です。
何故、環境省がこの時期にこうした提言をしているのか真意を測りかねています。
森を守りたいのであれば、其処に住む住民が一番に動ける内容であるべきだと私は思うのです。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

※[投稿]ボタンをクリックしてから投稿が完了するまで数十秒かかる場合がございますので、2度押しせずに画面が切り替わるまでお待ちください。

Profile

天野礼子(あまの・れいこ)

-----<経歴>-----

アウトドアライター。
1953年、京都市生れ。
中、高、大学を同志社で過ごす。
19才より釣りを始め、文化人類学者の今西錦司博士の主宰された「ノータリンクラブ」に属して、国内外の川、湖、海辺を釣り歩く。
26才より小説家、開高健に師事。
1988年には師と共に長良川河口の堰建設反対に立ち上がり、「ダムは不用」の国民世論に育て上げる。
近年は「川を再生するには森を生きかえらせることが必要」と“森仕事”へ視野を広げて、日本の森から材が出る社会システムを作り直すことを各地で提案している。
京都大学が2003年に構築した「森里海連環学」の普及もお手伝いするため、高知新聞社と山陰中央新報社でカルチャー教室「自然に学ぶ“森里海連環学”」を続けている。
2001年より、高知県・仁淀川の源流にも家を借り、有機農業普及のための「高知439国道有機協議会」を07年に立ち上げて、事務局長を務めている。08年7月に養老孟司氏らと「日本に健全な森をつくり直す委員会」を設立した。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
http://www.uranus.dti.ne
.jp/~amago/


長良川河口堰建設をやめさせる市民会議
http://nagara.ktroad.ne.jp/

公共事業チェックを求めるNGOの会
http://kjc.ktroad.ne.jp/

日米ダム撤去委員会
http://damremoval.com/

市民版憲法調査会
http://www.kenpou.com/

-----<著書>-----


『“林業再生”最後の挑戦』
2006年11月、農山漁村文化協会


『だめダムが水害をつくる!?』
2005年10月、講談社+α新書


『「緑の時代」をつくる』
2005年5月、旬報社


『ダム撤去への道』
2004年5月、東京書籍


『日本の名河川を歩く』
2003年7月、講談社+α新書


『市民事業』
2003年4月、中公新書ラクレ


『ダムと日本』
2001年2月、岩波新書


当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.