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2010年5月21日

ヨーロッパ林業視察  パートⅠ

5月7日から15日に、ドイツからスイスへと足をのばし、林業を見学してきました。これまでにも書いたように新政府下では林野庁が「森林・林業再生プラン」をつくり、そのメニューの中に、日本で5カ所、1カ所2億円をかけて、ドイツとオーストリアのフォレスター(森林官)を招いて指導を受けるというメニューが含まれています。

3月15日からおよそ1カ月間の日本訪問を終えたフォレスターたちを、ドイツに訪ねるのが、今回の旅の目的でした。

ドイツでも、そしてスイスでも、国や州に「フォレスター」と呼ばれる役人がいて、この人達が、国や州の森をどのように運営・維持してゆくかの「目標林型」をまずつくり、それに従って、地域の行政や、民有林所有者や、民間素材生産業者と協議しながら、その人達を指導しています。

日本にないのは、この体制だと思いました。

1、国、州が統一した目標林型を持っている。
2、フォレスターは、日本の役人のように2・3年では移動せず、十数年以上も同じ地域にいて、その地域の森の事情をすべて把握し、地方行政、民間所有者、業者を指導している。
3、その「フォレスター」を育てる仕組みがしっかりできている。

今回は、とりあえずの報告を、本日まず書きました。あと数回は報告を続けますので、ご意見がある方は、お寄せください。

2010年5月 5日

ドイツへ行ってきます

新政権がつくった「森林・林業再生プラン」は、全国で8千万立方メートル使われている木材のうち、1千8百万立方メートルしか自国で生産できていないわが国が、10年後までには5千万立方メートルを生産できるようにしよう。戦後に植えてきた人工林が使い頃に育っているので、使えるように、小さな所有形態を取りまとめて、作業道を整備しやすくしたりしよう、というもの。

そのプランの中に、全国5ヵ所にドイツのフォレスターを招き、大型林業機械などで効率よく仕事ができるモデルをつくろうというものもあります。

日本はかつて明治維新時に、国会や憲法はイギリスから、治水はオランダから、林業はドイツから学んでいました。そのドイツに再び学ぶのは、ドイツが百年前には「経済効率一辺倒」の森づくりをしていたことを反省して、近年は「近自然林業」ともいうべき、自然と共生する林業をやってきているからだと、私は思っています。

ドイツでは、人工林をつくる時にも今は、天然の萌芽があればそれを尊重して、針葉樹(人工)と広葉樹(天然)の"複層(相)林"をつくっています。

いま私は、林野庁の「作業道」の委員会に属しているので、今回のドイツ見学では、作業道と、林道と、それを使う高性能林業機械やその仕事ぶりを見せてもらいます。1800メートルの高地のスイスにも足を延ばします。

同行するのは5名。京都大学からは名誉教授で人工林研究の竹内典之さん。2003年に、ヒラメの研究者と「森里海連環学」を提唱した人物。その弟子の長谷川尚史さんは准教授で、「作業道を使う仕事のシステム」の専門家。奈良県清光林業17代目の岡橋清元さんは、作業道を作り続けて30年。林野庁関係者では、2003年から「新流通・加工システム」と「新生産システム」を予算化してこられ、昨年からは「日本林道協会」の専務理事となられている山田寿夫さん。異色は、「ポロBCS」の高井洋一さん。この方は、私や竹内先生や岡橋さんが養老先生を囲んで2008年から活動している「日本に健全な森をつくり直す委員会」の新しいメンバーとして入られた方で、奈良県東吉野にある先祖代々の森を自分でも間伐してゆこうと考え始められた、アパレル関係会社の若き社長です。

山田さんは「林道は、これからもたくさん日本に必要です」と、おっしゃいます。私や竹内先生は、「まず、これまでつくられてきた林道に作業道をつないで増やしてゆくことが先決です」と、言っています。

いずれにしても、10年後までに今の約3倍近い材を山から出してくるには、様々に相当な努力をしなければなりません。

百年前のように、ドイツに学びますが、私のドイツ林業見学は、これで二度目です。

帰ってきたら、また報告しますね。

Profile

天野礼子(あまの・れいこ)

-----<経歴>-----

アウトドアライター。
1953年、京都市生れ。
中、高、大学を同志社で過ごす。
19才より釣りを始め、文化人類学者の今西錦司博士の主宰された「ノータリンクラブ」に属して、国内外の川、湖、海辺を釣り歩く。
26才より小説家、開高健に師事。
1988年には師と共に長良川河口の堰建設反対に立ち上がり、「ダムは不用」の国民世論に育て上げる。
近年は「川を再生するには森を生きかえらせることが必要」と“森仕事”へ視野を広げて、日本の森から材が出る社会システムを作り直すことを各地で提案している。
京都大学が2003年に構築した「森里海連環学」の普及もお手伝いするため、高知新聞社と山陰中央新報社でカルチャー教室「自然に学ぶ“森里海連環学”」を続けている。
2001年より、高知県・仁淀川の源流にも家を借り、有機農業普及のための「高知439国道有機協議会」を07年に立ち上げて、事務局長を務めている。08年7月に養老孟司氏らと「日本に健全な森をつくり直す委員会」を設立した。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
http://www.uranus.dti.ne
.jp/~amago/


長良川河口堰建設をやめさせる市民会議
http://nagara.ktroad.ne.jp/

公共事業チェックを求めるNGOの会
http://kjc.ktroad.ne.jp/

日米ダム撤去委員会
http://damremoval.com/

市民版憲法調査会
http://www.kenpou.com/

-----<著書>-----


『“林業再生”最後の挑戦』
2006年11月、農山漁村文化協会


『だめダムが水害をつくる!?』
2005年10月、講談社+α新書


『「緑の時代」をつくる』
2005年5月、旬報社


『ダム撤去への道』
2004年5月、東京書籍


『日本の名河川を歩く』
2003年7月、講談社+α新書


『市民事業』
2003年4月、中公新書ラクレ


『ダムと日本』
2001年2月、岩波新書


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