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自然に学ぶ"森里海連環学"

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学" No.11

アユ溯る―川の民英断実ったか


今年は既に2月23日に、高津川への天然アユ溯上(そじょう)が確認されている。

河口から数キロ上流の安富橋の毎年天然溯上を確認する地点で、5~6グラム、体長は8~10センチに見えるアユが、100匹ほど見え、漁協職員がカメラに収めたのだという。

高津川漁協でアユセンター長の田中誠二さんは「今年は例年より1カ月も早い遡上です。体長も、例年よりだいぶ大きい。雪が少なかったことも影響しているかもしれませんが、これが、反対はあってもここ2年間、10月11日から11月30日を『全川全面禁漁』にして、アユの産卵場も整備した効果が出て、最近は全く姿を消していた、『早期産卵アユ』が再現したものかどうか。アユを川から採取して耳石を検査し確かめてみたいのですが、あれから水が高くてアユをとれないのです」と、おっしゃる。

近年、「冷水病」という水温の急低下時に魚が大量死するウィルス性の病気がアユに出て、全国の川の漁協や釣り師を悩ましている。

東海大学海洋学部を卒業している田中さんは「昔の高津川の天然アユが持っていた"天然力"を取り戻させれば、風邪と一緒だから、冷水病のウィルスが体中に入っても、発病しなくなるのでは」と、考えた。

秋のアユの産卵期に、まず産卵場を人の手で整備し、アユが卵を産みやすくする。10月11日から11月30日の51日間は、落ちアユ漁もツガニ漁もやめて、アユたちが自由に産卵活動をし、卵が無事に育つまで見守る。

アユは1年魚。河口に住む人間たちは、春は溯(のぼ)ってゆく天然アユを見ているだけ。その代わり、下ってきた産卵後の落ちアユをいただき正月の雑煮のだしにするのは、日本全国の川の"冬の風物詩"とされてきた。

それを、「獲(と)るな」といい、同時期に産卵期を迎えているツガニの漁もアユのために禁止するのは、ずいぶん酷な話なのだ。

しかし、高津川の男たちは2年前、それを英断した。私はこの連載で既に一度、この男たちの英断を「川の民の英知」と書いた。

その「英断」が効いたのか、ただ、早い雪融けのせいなのか・・・。

今年、雪の量が少なかった高津川は夏、必ず大渇水する。そして水温の上昇も温暖化で高まるかもしれない。そのとき、たった2年の効果が挙がっていて、アユが冷水病の影響を少ししか受けず、夏を乗り切るか。

川の側に暮らす男なら、いや女でも、気にならないわけはない。高津川よ、天然アユよ、強く生きよ。"天然力"を取り戻すのだ。

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Profile

天野礼子(あまの・れいこ)

-----<経歴>-----

アウトドアライター。
1953年、京都市生れ。
中、高、大学を同志社で過ごす。
19才より釣りを始め、文化人類学者の今西錦司博士の主宰された「ノータリンクラブ」に属して、国内外の川、湖、海辺を釣り歩く。
26才より小説家、開高健に師事。
1988年には師と共に長良川河口の堰建設反対に立ち上がり、「ダムは不用」の国民世論に育て上げる。
近年は「川を再生するには森を生きかえらせることが必要」と“森仕事”へ視野を広げて、日本の森から材が出る社会システムを作り直すことを各地で提案している。
京都大学が2003年に構築した「森里海連環学」の普及もお手伝いするため、高知新聞社と山陰中央新報社でカルチャー教室「自然に学ぶ“森里海連環学”」を続けている。
2001年より、高知県・仁淀川の源流にも家を借り、有機農業普及のための「高知439国道有機協議会」を07年に立ち上げて、事務局長を務めている。08年7月に養老孟司氏らと「日本に健全な森をつくり直す委員会」を設立した。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
http://www.uranus.dti.ne
.jp/~amago/


長良川河口堰建設をやめさせる市民会議
http://nagara.ktroad.ne.jp/

公共事業チェックを求めるNGOの会
http://kjc.ktroad.ne.jp/

日米ダム撤去委員会
http://damremoval.com/

市民版憲法調査会
http://www.kenpou.com/

-----<著書>-----


『“林業再生”最後の挑戦』
2006年11月、農山漁村文化協会


『だめダムが水害をつくる!?』
2005年10月、講談社+α新書


『「緑の時代」をつくる』
2005年5月、旬報社


『ダム撤去への道』
2004年5月、東京書籍


『日本の名河川を歩く』
2003年7月、講談社+α新書


『市民事業』
2003年4月、中公新書ラクレ


『ダムと日本』
2001年2月、岩波新書


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