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2010年1月29日

私の"森仕事"

カゼをひいてノドをいためて、もう2週間近く。奈良県吉野山の「清光林業」、東吉野の「ポロBCSフォレスタリー事業部」、福井市の素材生産業者「ネイチャー6」の山や作業地をうろつきながら、島根県と奈良県の、県、山元、"川下"と称される建築家たちとの会合などを重ねる一ヶ月でした。

1月21日から24日は、長崎県対馬で、対馬森林組合と、「日本に健全な森をつくり直す委員会」、「"森里海連環学"実践塾」、「町の工務店ネット」が共催するシンポジウムを行い、天然林・人工林の二つの森へのツアーもニコルさんと行ってきました。

雪に吹雪かれたり、雨に濡れたり、風に吹かれたり、寒い目に逢ったりするので、カゼは治らないです。しかし、今は、ノドにタンがからんでいるので、もうすぐ治るかもしれません。

とはいえ、本日28日も、これから和歌山市へゆき、紀州林業会の総会で講演。29日は、関西空港から飛行機に乗って、東京へゆき、マンガ家の魚戸おさむ氏と、私が朝日新聞社から春に出版する「有機な人々」のための対談。
 
この夜は、ひさしぶりに、林野庁長官らとの会合(という名の飲み会)をセットしています。(もちろんワリカンです)

私は、こういった仕事を、"森仕事"と称しています。魚戸氏との29日の対談の方は、"畑仕事"でしょうか。

先日、私のブログへの書き込みで、ある方々が「美林づくりもよいが、川下を考えているのか」とおこごとでした。くやしーい!

対馬では、「"森里海連環学"実践塾」と「町の工務店ネット」が協働しました。この「実践塾」というのは、「OMソーラー協会」を立ち上げ、今は「町の工務店ネット」を主宰される小池一三氏が、私を塾長に、自分を塾頭にしてつくった、「工務店が賢くなって、施主さんと一緒に、流域材を使ってゆくことを進めてゆく」ための勉強会。

こんなことも、あんなこともやっているのに、私にブログを書く時間がないために、皆さんに十分な情報をお知らせできていないことに悩みを持っています。

対馬でのシンポは、小池一三氏の「町の工務店ネット」新聞"びお"に報告されています。

住まいネット新聞「びお」  http://www.bionet.jp/
書くことが好きな方は、筆まめな小池氏の"びお"も配信を受けられ、交流されるとよいと思います。

私は、今はペンよりも行動と、歩いたり走ったりしています。私の推薦で国家戦略室の一員となられた梶山恵司さんが林野庁とつくられた「森林・林業再生プラン」と「第二次補正予算」が、林野庁のHPには載っているので、これもご覧ください。

忙しくて、痩せるヒマがないのが私の一番の悩みです(笑)。

2010年1月15日

自然に学ぶ"森里海連環学"

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学" No.9

「生物多様性年」  一からやりなおす

「生物多様性条約第10回締結国会議」が10月18日から名古屋市で開催され、日本が議長国を務める今年は、おそらく各新聞社でも年頭から"生物多様性"という言葉を使う紙面が増えるだろう。

「生物多様性条約」は、1992年にブラジルのリオデジャネイロで行われた「国連環境開発会議(地球サミット)」で、「国連気候変動枠組み条約」とともに採択され、168カ国が署名したもの。条約は93年に発効し、現在は191の国と地域が参加している。

私はその92年のリオデジャネイロに、川の非政府組織(NGO)として参加し、現地でシンポジウムを組み立てた経験を持っている。

日本ではほとんどの国民が知らないので残念なのだが、2007年にわが国の農水省は、「農林水産省生物多様性戦略のポイント」というものをひっそりと(国民にほとんど知られていないのだから、私にこういう風に書かれても仕方ない)発表している。書かれていることは、素晴らしすぎて信じられないほど、まともなこと。いわく。

「農林水産業は、人間の共存に必要な食料や生活物資などを供給する不可欠な活動であるとともに、多くの生き物にとって、貴重な生息・生育環境の提供、特有の生態系の形成・維持など生物多様性に貢献」、「しかし、不適切な農薬・肥料の使用、経済性や効率を優先した農地・水路の整備、埋め立て等による藻場・干潟の減少など一部の農林水産業の活動が生物多様性に負の影響」と。

驚くべきことに、そこに添えられている写真はなんと、諫早水門の閉じられている姿なのだ。

戦後アメリカから移入した農薬を使う指導を農協に続けさせてきた農林水産省が、農薬の弊害を初めて"負の遺産"と認め、干潟などの埋め立てが生物の多様性を損ね、生存に必要な食料の獲得にとっては、かえってマイナスでもあったと認めているのだ。

どうして、こんなことを、わが国は大声で言わないのだろう。また新聞諸紙も、それを今まで報道しなかったのだろう。

この国には、「一からのやりなおし」がどうも必要な気がする。

森と川と海との"つらなり"や"つながり"を問う「森里海連環学」が、今年こそ、そしてこれからこそ、必要な年になったと強く認識している。

2010年1月 5日

総理官邸へ、が昨年の「仕事納め」

2009年の最後の仕事は、総理官邸へ12月30日に出かけることでした。

「新成長戦略」を鳩山総理が記者発表されるというので、「町の工務店ネット」の小池一三氏と相談の上、24の展示物の一つに「四つの時代の住宅の断熱のちがい」をつくって並べたのです。
 
他の発表物は、人間ロボットの「アシモ君」や村田製作所の「ムラタセイコちゃん」、ロケットや電気自動車といったハイテク先進技術ばかり。

鳩山総理はアシモ君と握手したりして、カメラ目線で笑ってみせます。

私たちの展示は、①「断熱化は、地球環境に負荷を掛けないで住宅の居住性能を向上させる技術」であり、②エネルギーロスが大きい1980年の「省エネ基準」以前の住宅がまだ全住宅数の40パーセントを占めている日本では、近30年以内に"大地震"が来ることも予想されるのだから、「断熱の改新」と「耐震」をリフォームででもやっておくことが、国産材の出口にもなり、総理が命題とされる「CO2の25パーセント削減」にとっても役立つ、というもの。

赤い服を着て私が立っていたので総理は立ち止まり、「来ていらっしゃったんだ」と挨拶してくださいましたが、展示物にはあまりピンとこない様子でした。

翌日は、読売は書かず、朝日は「つけ焼刃だ」と論評していました。「こんな先進技術は民主党政権以前からあったもので、何も目新しい"新成長戦略"ではないではないか」というのです。私も、そう思っていました。

私たちを官邸での展示に呼んだのは、菅さんの国家戦略室。私と一緒に「日本に健全な森をつくり直す委員会」(委員長 養老孟司)活動をしている前・富士通総研主任研究員の梶山恵司氏が、今は戦略室で内閣審議官を務め、林野庁と、「森林・林業再生プラン」と「第二次補正予算」を一緒に作っているのです。

菅さんは、「植物で生きる日本にしたい」とおっしゃり、当委員会は、「石油に頼らず森林(もり)に生かされる日本になるべき」と主張しています。

森のために働くことを私は"森仕事"と称していますが、2009年はこのように官邸での"森仕事"で終わりました。

2010年の「仕事始め」は、明日1月6日に島根県庁へゆき、「森林・林業を見直すために」と称する勉強会を実行します。

梶山さんと林野庁がつくった「第二次補正予算」を使って、作業道を造ったり、"森林プランナー"を育てたりすることを今年は大いに進めようという勉強会です。

私はこんな勉強会を、1月12日には奈良県庁の方々と行います。
松江は、今夜から大雪のようです。

あなたは今年、"何仕事"をなさいますか?

官邸での発表について詳しくは小池氏の「町の工務店ネット」のネット新聞「びお」で、「もうひとつの成長戦略」を参照ください。

http://www.bionet.jp/2009/12/seityosenryaku/#commentlist

Profile

天野礼子(あまの・れいこ)

-----<経歴>-----

アウトドアライター。
1953年、京都市生れ。
中、高、大学を同志社で過ごす。
19才より釣りを始め、文化人類学者の今西錦司博士の主宰された「ノータリンクラブ」に属して、国内外の川、湖、海辺を釣り歩く。
26才より小説家、開高健に師事。
1988年には師と共に長良川河口の堰建設反対に立ち上がり、「ダムは不用」の国民世論に育て上げる。
近年は「川を再生するには森を生きかえらせることが必要」と“森仕事”へ視野を広げて、日本の森から材が出る社会システムを作り直すことを各地で提案している。
京都大学が2003年に構築した「森里海連環学」の普及もお手伝いするため、高知新聞社と山陰中央新報社でカルチャー教室「自然に学ぶ“森里海連環学”」を続けている。
2001年より、高知県・仁淀川の源流にも家を借り、有機農業普及のための「高知439国道有機協議会」を07年に立ち上げて、事務局長を務めている。08年7月に養老孟司氏らと「日本に健全な森をつくり直す委員会」を設立した。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
http://www.uranus.dti.ne
.jp/~amago/


長良川河口堰建設をやめさせる市民会議
http://nagara.ktroad.ne.jp/

公共事業チェックを求めるNGOの会
http://kjc.ktroad.ne.jp/

日米ダム撤去委員会
http://damremoval.com/

市民版憲法調査会
http://www.kenpou.com/

-----<著書>-----


『“林業再生”最後の挑戦』
2006年11月、農山漁村文化協会


『だめダムが水害をつくる!?』
2005年10月、講談社+α新書


『「緑の時代」をつくる』
2005年5月、旬報社


『ダム撤去への道』
2004年5月、東京書籍


『日本の名河川を歩く』
2003年7月、講談社+α新書


『市民事業』
2003年4月、中公新書ラクレ


『ダムと日本』
2001年2月、岩波新書


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