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高知新聞連載 【15~17】 »

ダムと小沢と加藤紘一

民主党の代表として選挙の顔となってきた小沢一郎さんの、西松建設からの献金が「違法」であったかどうかが問われています。一方、3月6日の朝日新聞は「自民党側の立件は無理。西松から献金を受けた認識があるという傍証がない限り難しい」との政府高官の声を載せ、問題となっています。

国民から500円ずつの政治資金に替えたはずなのに、政治家への献金のあり方が「ちっとも変わらない、違法でなければいい」ということが問題なのです。金をくれる人は「口きき」を期待しており、それが実行されなければ、毎年金をくれ続けることはないでしょうから。

それにしても、「ダムはよほど儲かるのだな」と、多くの国民が思ったでしょう。ダム工事(や原発にはもっと)には、地元説得に時間がかかるという不安定要素も多いため、政治家などに献金するための“浮かせる金”がつくりやすい。1件での額も大きい。
だから与野党を問わず多くの議員が、「ダムの推進に口を利き、“おこぼれ”にあずかっている」のでしょう。

私がかかわった長良川河口堰は、小沢さんが最も尊敬するらしい田中角栄が総理の時代に金丸建設大臣が計画した案件で、その当時に大成建設と鹿島建設が談合して指名を受け、金丸建設大臣がそれを仲介していたのだと、のちに金丸の“金の延べ棒”が発見された時に、朝日新聞が一面トップでスッパ抜きました。

この時は長良川河口堰問題で、「推進」の綿貫建設大臣と「反対」の北川石松環境庁長官が対立し、国会が二分する程の運動が繰り広げられていたのに、残念ながらそれで長良川河口堰の工事が止まらなかったのは、社会党がそれを国会で追及しなかったからでした。

「天野礼子みたいだ!」と加藤紘一、言い。

加藤紘一さんが、3月1日に放送されたフジTVの「報道2009」で、“道路”問題で菅直人氏と対決し、菅さんの「自民党は不要な道路を造り続けているじゃないか」の追及に、興奮して大声でこう叫んだという。
「あなた(菅)は、あの“公共事業絶対反対”の天野礼子さんと同じじゃないか」、と。

私自身はこの番組を見ていませんが、見ていた私の全国の友人から「魂消(たまげ)た」とたくさんの電話がありました。

加藤紘一さんは、自民党のハト派、リベラルとして名高い。その人がこんな口調で私を批判する裏にあるのも、実は「ダム」なのです。

彼の地元・山形県の最上川。その支流のダムのない清流、小国川にダム計画があり、私は地元の人々に依頼されて、反対の集会を重ね、そこに加藤紘一さんとは仲のいい、菅直人さんや辻元清美さんを連れていっています。加藤さんを説得したいからです。

1月に山形では知事選があり、加藤さんが担いだ一期目の元・日銀出身の斉藤知事が落選しました。一期目知事の落選というのは珍しいので、「加藤紘一の力も落ちた」と、世間で評判になりましたね。

加藤紘一さんは、小国川ダム推進団体の旗頭。他の問題では「リベラル」でもダムではそうではないのは、そこに金がからむからなのでしょうか。しかし私はそんなことを言ったこともないし、小国川ダム問題で加藤氏の名前を出して批判したこともありません。それでも氏が私の名をTVで出してくださったのは、よほど悔しいことがあるからなのでしょう。


ダム点検のマニュフェスト

先の総選挙で民主党は、「政権を取れたら、全国のダムを2年間かけて点検する」としていました。今回はそれがまだマニュフェストとして出てきていなかったのですが、昨今の西松問題でその理由が国民にもわかったことでしょう。

「ところで、加藤紘一さん!」。

私は前原誠司代表時に、「“もうひとつの日本”構想委員会」というのを民主党内につくり、そこでは「これからやるべき公共事業」を議論しています。それ以前の鳩山代表時には「公共事業を国民の手に取り戻す委員会」をつくっていて、その時の事務局長であった前原さんと一緒につくったのが、“緑のダム法案”。「コンクリートのダムを造らなくても、人工林を整備するだけで“治水”は可能」という案でした。

言っておきますが私は、“公共事業”に「絶対反対」ではありません。「必要な公共事業に金がまわる日本」にしたいと、誰よりも願っている女ですよ。

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コメント (2)

天野様、大層ご立腹のご様子、心よりお見舞い申し上げます。でもねぇ、加藤紘一氏なんて地元以外では殆ど影響力を失っている方ですから「アラアラ、ドウシマショウ?」ぐらいに軽く受け流しましょう?もっと言えば、いくら低視聴率の番組とはいえ、一人でも多くの視聴者に天野様の存在と仕事振りを「広報」してくれたのですから「アリガト、チョンマゲ!」って感謝状を送られてはいかがでしょう?
お腹立ちをお慰めしたことになるのかどうかは解りませんが、これからも、「緑と水の循環」よろしくお願いいたします。陰ながら応援させていただきます。

> 国民から500円ずつの政治資金に替えたはずなのに、政治家への献金のあり方が「ちっとも変わらない、違法でなければいい」ということが問題なのです。
まず認識が根本的に間違っています。
政治には巨額な政治資金が必要なのです、そして政治資金は多ければ多い程良いのです。
特に有力な政治家には絶対に必要です、何故かと言うと世界に通用する政治家である為には個人の能力だけではダメなのです。
政治家をバックアップする優秀なスタッフが大量に必要ですし、世界との交流活動等にも莫大な費用が入ります。
国内においても同様でありそれが無ければ日本を背負って確実な舵取りなど出来ないのです。
単に選挙に勝ち何の力も無い政治家になるだけなら安く済みます、5000万円もあれば足りるでしょう。
そして現状を言えば、政党助成金では全く足りませんし、企業からの献金が無ければ政治資金は不足し政治家達は満足に動けない状況で政治活動をすることになり業務に支障を来たします。
ですから政治資金規正法はザル法にわざとしているのです。
日本人は建前と本音を使い分けます、建前論を振りかざし幾ら政治とお金の問題を語っても解決はできませんし、マスコミも建前で煽り世論をミスリードしています。
もう一度言います、政治には政治資金が大量に必要なのです。
政治とお金の問題を解決するには国民がそのことを理解し本音で語れる環境を作ることが必須なのです。

> 金をくれる人は「口きき」を期待しており、それが実行されなければ、毎年金をくれ続けることはないでしょうから。
これも違います、談合構造で「口きき」はありません。
談合に参加する企業同士の競争の中に有力者に献金したか?を競う競争があるのです。
受注競争激化の中で談合が生まれた背景があるのですからこのような不毛とも言える競争もまたあるのです。
そして「口きき」等の便宜供与も当然ありますがそれは裏金です、決して表に出ないお金であり収支報告書には絶対に載りません。

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Profile

天野礼子(あまの・れいこ)

-----<経歴>-----

アウトドアライター。
1953年、京都市生れ。
中、高、大学を同志社で過ごす。
19才より釣りを始め、文化人類学者の今西錦司博士の主宰された「ノータリンクラブ」に属して、国内外の川、湖、海辺を釣り歩く。
26才より小説家、開高健に師事。
1988年には師と共に長良川河口の堰建設反対に立ち上がり、「ダムは不用」の国民世論に育て上げる。
近年は「川を再生するには森を生きかえらせることが必要」と“森仕事”へ視野を広げて、日本の森から材が出る社会システムを作り直すことを各地で提案している。
京都大学が2003年に構築した「森里海連環学」の普及もお手伝いするため、高知新聞社と山陰中央新報社でカルチャー教室「自然に学ぶ“森里海連環学”」を続けている。
2001年より、高知県・仁淀川の源流にも家を借り、有機農業普及のための「高知439国道有機協議会」を07年に立ち上げて、事務局長を務めている。08年7月に養老孟司氏らと「日本に健全な森をつくり直す委員会」を設立した。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
http://www.uranus.dti.ne
.jp/~amago/

長良川河口堰建設をやめさせる市民会議
公共事業チェックを求めるNGOの会
日米ダム撤去委員会
市民版憲法調査会

-----<著書>-----


『“林業再生”最後の挑戦』
2006年11月、農山漁村文化協会


『だめダムが水害をつくる!?』
2005年10月、講談社+α新書


『「緑の時代」をつくる』
2005年5月、旬報社


『ダム撤去への道』
2004年5月、東京書籍


『日本の名河川を歩く』
2003年7月、講談社+α新書


『市民事業』
2003年4月、中公新書ラクレ


『ダムと日本』
2001年2月、岩波新書

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