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三知事の“ダム反対”

2008年12月21日の朝日新聞朝刊には、“財務省「次年度以降もムリ」”、“国交省「補正予算 努力」”との見だしで、滋賀県の大戸川ダムについて、来年度予算の財務省原案では、事業費が一切認められず、「来年度の事業は休止」されることになったことが書かれています。前日の朝日夕刊では一面トップ記事で「大戸川ダム休止」とまず載っており、朝日は二日続き、他紙も同様の大きなあつかいです。

関西の、滋賀、京都、大阪の三知事が揃って「ダムに反対」したこと、そしてそもそも知事がダムに反対意見をしっかり述べるなどということは田中康夫知事以来。

こういう流れに至った功労者は、読売新聞と、元・河川官僚の宮本博司氏。いつもは政府の行動を熱心に伝えていることの多い読売新聞が、河川局が諮問した「淀川流域委員会」が淀川流域の「ダムにNO」という判断をしていることをしっかりと書き、産経新聞までが各紙論調を揃えてこの問題を書き続けたことが「問題」を大きくしました。この委員会を国土交通省河川局近畿地方整備局の責任者として運営していた宮本氏が、「河川局が諮問した“淀川委員会”が“NO”という結論を出した。国土交通省は97年に改正した河川法に則り、諮問に従うべきである」という法律に準じた意見を中央に上奏したがそれが叶わなかったことから、95年には長良川河口堰現地所長として河口堰のゲートを降ろしていた宮本氏が河川局を辞職するという事態となり、三知事の反対につながっていったのです。

知事には、国土交通省からは様々な誘惑があります。かつて、その誘惑に負けなかったのは田中康夫知事、ただ一人しかいません。

今回は、“三本の矢”で、全マスコミ注目の大阪の橋下徹知事も行動を共にしたため、「財務省に予算をつけさせない」という前代未聞の快挙にまで至ることができました。

「新聞各紙は全国版で書き、しっかりとその役目を果たしたのに、TVも国会もこれをフォローできず、“天下の一大事”とはできなかった。」
私にはそれが、2008年の一番印象に残ったできごとでした。

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コメント (1)

天野様、こうした経緯を出来るだけ客観的に克明に書いて下さることが次の展望に繋がるのではないですか?いずれ、このことが“天下の一大事”に繋がると信じてやっていきましょうよ。
ダムはその目的が発電であろうが治水であろうが水利用であろうが、もはや時代遅れなのです。ダムに代わる方法はそれぞれの目的でいくつもあるのです。そのことには殆んどの人が気づいています。今や、ダム建設は土木関係の無駄な公共事業に過ぎないことも、殆どの人は知っています。
長良川や諫早の過ちも、取り返しがつかないと落胆せずに、粘り強くやってゆけば、何とか復元できる可能性だって残されています。

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Profile

天野礼子(あまの・れいこ)

-----<経歴>-----

アウトドアライター。
1953年、京都市生れ。
中、高、大学を同志社で過ごす。
19才より釣りを始め、文化人類学者の今西錦司博士の主宰された「ノータリンクラブ」に属して、国内外の川、湖、海辺を釣り歩く。
26才より小説家、開高健に師事。
1988年には師と共に長良川河口の堰建設反対に立ち上がり、「ダムは不用」の国民世論に育て上げる。
近年は「川を再生するには森を生きかえらせることが必要」と“森仕事”へ視野を広げて、日本の森から材が出る社会システムを作り直すことを各地で提案している。
京都大学が2003年に構築した「森里海連環学」の普及もお手伝いするため、高知新聞社と山陰中央新報社でカルチャー教室「自然に学ぶ“森里海連環学”」を続けている。
2001年より、高知県・仁淀川の源流にも家を借り、有機農業普及のための「高知439国道有機協議会」を07年に立ち上げて、事務局長を務めている。08年7月に養老孟司氏らと「日本に健全な森をつくり直す委員会」を設立した。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
http://www.uranus.dti.ne
.jp/~amago/

長良川河口堰建設をやめさせる市民会議
公共事業チェックを求めるNGOの会
日米ダム撤去委員会
市民版憲法調査会

-----<著書>-----


『“林業再生”最後の挑戦』
2006年11月、農山漁村文化協会


『だめダムが水害をつくる!?』
2005年10月、講談社+α新書


『「緑の時代」をつくる』
2005年5月、旬報社


『ダム撤去への道』
2004年5月、東京書籍


『日本の名河川を歩く』
2003年7月、講談社+α新書


『市民事業』
2003年4月、中公新書ラクレ


『ダムと日本』
2001年2月、岩波新書

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