Calendar

2007年4月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

Recent Comments

« 南ドイツへ、林業の勉強会に行ってきます
メイン
60歳になった憲法を祝う! »

ドイツ林業から学ぶ

 3月に10日間かけて、ドイツの「黒い森(シュバルツバルト)」周辺の林業を勉強しにゆきました。

 かつて明治維新時に日本は、森林政策をドイツに、議会や憲法はイギリスに、河川政策はオランダに学びました。
 当時のドイツは産業革命のエネルギーの一つとしても「黒い森」のモミの木を使ったことで森林が消滅寸前で、人工林を、経済効率を優先して成長の早いトウヒ(針葉樹)に変えてしまうなどの政策を取っていました。

 しかしその後、近年はその政策の見直しがなされ、本来の「黒い森」に一番たくさん生えていたモミの木を植えたり、「エコロジーであることはエコノミーである」という思想が森林経営に生かされています(アメリカでレスター・ブラウンさんがやはり「エコエコノミー」という言葉を使っています)。

 ドイツでは、そしてフィンランドやオーストリアでも、「フォレスター(森林官)」が森の管理のマネジメントを行っています。

 特にドイツは、州ごとに国の役人である「フォレスター」の局があり、その人達が国有林も民有林も両方の面倒を見ています。(日本は、国有林は林野庁が、民有林は民間林業家や地方自治体や各地の森林組合がバラバラにしかも勝手勝手に経営し、統一も取れておらず、まともな森林計画すらないというのが現状です。)

 ドイツの「フォレスター」は、州に数十人がいて、一人がいくつかの地域を十数年くらい見ています。この人物たちは「村長」くらいの権限を持っていて、地域の人達から大きな信頼と尊敬を得ています。

 ドイツ国中に統一した森林計画があり、州ごとにその地域の自然の現状とマッチした運用計画がなされていて、その歴史が代々受け継がれている。森林計画は国の役人である「フォレスター」たちが考えて、民有林所有者も指導しているのです。

 日本では、国有林は林野庁、民有林指導は森林組合が、ドイツにおける「フォレスター」のような役割を分担していることに形式上はなっているのですが、現実はそうなっていません。

 林野庁が第二次世界大戦後に取ってきた政策がうまくゆかず、その仕事を手伝った森林組合の経営が各地で破綻し、林野庁がそれを補助金で救済してきたからでした。

 ドイツに行って、統一した森林計画に従って各地の森がきちんと手入れされ、林業が森林国らしく「生業(なりわい)」として成長しているのを見た時、私には日本の林業の病理がはっきりとわかりました。

 詳しくは、4月末に発行する「森林組合」(「全国森林組合連合会」の月刊広報誌)とその5月号に私の連載の2回分として掲載します。この広報誌は依頼があれば無料で配布されるので、必要ならば全国森林組合連合会へお申し込みください。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/2706

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

※[投稿]ボタンをクリックしてから投稿が完了するまで数十秒かかる場合がございますので、2度押しせずに画面が切り替わるまでお待ちください。

Profile

天野礼子(あまの・れいこ)

-----<経歴>-----

アウトドアライター。
1953年、京都市生れ。
中、高、大学を同志社で過ごす。
19才より釣りを始め、文化人類学者の今西錦司博士の主宰された「ノータリンクラブ」に属して、国内外の川、湖、海辺を釣り歩く。
26才より小説家、開高健に師事。
1988年には師と共に長良川河口の堰建設反対に立ち上がり、「ダムは不用」の国民世論に育て上げる。
近年は「川を再生するには森を生きかえらせることが必要」と“森仕事”へ視野を広げて、日本の森から材が出る社会システムを作り直すことを各地で提案している。
京都大学が2003年に構築した「森里海連環学」の普及もお手伝いするため、高知新聞社と山陰中央新報社でカルチャー教室「自然に学ぶ“森里海連環学”」を続けている。
2001年より、高知県・仁淀川の源流にも家を借り、有機農業普及のための「高知439国道有機協議会」を07年に立ち上げて、事務局長を務めている。08年7月に養老孟司氏らと「日本に健全な森をつくり直す委員会」を設立した。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
http://www.uranus.dti.ne
.jp/~amago/


長良川河口堰建設をやめさせる市民会議
http://nagara.ktroad.ne.jp/

公共事業チェックを求めるNGOの会
http://kjc.ktroad.ne.jp/

日米ダム撤去委員会
http://damremoval.com/

市民版憲法調査会
http://www.kenpou.com/

-----<著書>-----


『“林業再生”最後の挑戦』
2006年11月、農山漁村文化協会


『だめダムが水害をつくる!?』
2005年10月、講談社+α新書


『「緑の時代」をつくる』
2005年5月、旬報社


『ダム撤去への道』
2004年5月、東京書籍


『日本の名河川を歩く』
2003年7月、講談社+α新書


『市民事業』
2003年4月、中公新書ラクレ


『ダムと日本』
2001年2月、岩波新書


当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.