Calendar

2006年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

Recent Trackbacks

« 2006年8月 | メイン | 2006年11月 »

2006年9月28日

NHKラジオ再放送のお知らせ

 5月13日と6月10日のAM4:00より放送されたNHKの「ラジオ深夜便」が9月に再放送となり、「私の“川仕事”」は9月16日に放送が済んでしまいましたが、「私の“森仕事”」は9月30日(土)のAM9:05からラジオ第1放送で45分放送されます。

 このブログでは6月10日の“森仕事”に間に合うようにしかお知らせできなかったのに、再放送分も同じ“森仕事”しかお知らせできずにごめんなさい。

 実はこの二つの放送はなんだか評判がよかったので再放送になっただけでなく、“森仕事”に関心を持つ視聴者が多かったので、10月25日に、第3弾を収録することになっています。
 
 また放送日が決定したらお知らせしますね。

 このところ、「森里海連環学」で忙しくしています。これはまた近々報告しますが、とりあえず明日9月29日(金)から3日間は、まもなく終わってしまうアユ釣りの名残の数日間を高知県仁淀川で楽しむ予定です。

2006年9月27日

新幹線が、止まった

 「新幹線が、止まった」と、友人で、私とは「市民事業」(中公新書ラクレ)の共著もある法政大学の五十嵐敬喜(たかよし)教授から、9月25日に電話が入りました。

 あの滋賀県の嘉田由紀子知事の二大公約、「新幹線の新駅は滋賀県には造らせない」と「ダムはいらない」のうち、「新幹線」については栗東市で住民の差し止め裁判が起こっていたのですが、大津地裁で住民の差し止め要求が認められたというのです。

 五十嵐さんは辣腕弁護士でもあるので、これまで「差し止め」要求が認められた判例がほとんどなかったので、事の重大性を言われるのです。
 
 本朝(9月26日)の毎日新聞全国版に、彼のコメントが載っています。
 
 正確には、「新幹線が、止まった」のではなく、「新幹線を止める駅の工事が止まった」のですが、五十嵐さんの興奮がわかります。

 田中康夫さんが長野県知事選で落選してから、嘉田さんを包囲する「反“公共事業改革”」の波は強まるばかりでした。自民党の総裁選では、三候補とも口を揃えたように「公共事業のどこが悪い」とばかりの言でした。

 一方、日本には、「政・官・財の癒着腐敗」という言葉がありますが、本当は「政・官・財・司」というべき政や官に支配されているような司法の弱さが欧米との違いと長らく言われてきました。しかしそれも近年は、司法の判事たちが若手になるに従って、少し変わってきたように思えます。例えば「小泉“靖国参拝”への違憲判決」、「水俣病認定基準についての最高裁判決」、近いところでは「東京都の“君が代強制”についての違憲判決」。

 ところが問題は、「違憲」とまで司法が判断していても、首相(靖国)や環境省(水俣)や石原慎太郎(君が代)など政治家が「無視」を決め込む政治の“右傾化”です。
 
 五十嵐さんは「中曽根でさえ、違憲と言われれば従ったのに、小泉はそれを無視した。慎太郎もおそらく控訴だろうし、安倍となると益々右傾化が進むだろう」と。

 五十嵐さんの毎日新聞のコメントを、本人の了承の下に全文掲載します。
 
 「行政事業には、一度決めたら絶対に中止しないという不倒神話や、決めたことはどんな手段でもやり遂げるという方法の異常性があると言われてきた。
 
 新幹線新駅計画もその典型で、合理性、公共性があるかどうか多くの国民が疑問に思っている。原告は「費用は誰がどういう方法で払うのか」と異議を申し立て、裁判所は多額の借金をしようとした市を一蹴した。最近の自治体の乱費ぶりは目に余り、採決は妥当であり正論だ。
 
 情けないのは、議会が起債を認めたこと。議会は、行政のチェックが役割なのに、旗振り役になっている。選挙と訴訟で市民がこれを是正するスタイルは、21世紀の新しい直接民主主義の登場を予感させる」。

 間もなく10月22日にある栗東市長選で市民がどのような判断を示すか。
 
 嘉田さんは知事選挙中、「県民ひとり3万円の無駄遣い“もったいない”」と連呼し、滋賀県では小学生までが「3万円もったいない」と流行語になって、知事選は勝利したのです。
 
 827兆円に及ぶ借金大国ニッポン。無駄な公共事業でどこまで「未来への負債」を続けるのかが、小さな選挙でも問われる必要があると思えます。

2006年9月20日

”アファンの森”訪問

 9月11日に、農文協より11月に発刊予定の「“林業再生”最後の挑戦」(仮題)を、高知県仁淀川町の「川の家」(私の高知の家)にて脱稿しました。
 
 それで、晴れ晴れとした気分で、敬愛する兄、C.W.ニコルさんの「アファンの森」を再訪することができました。

 「アファンの森」は長野県信濃町の黒姫山のふもとにニコルさんが20年前から買い続けてきた6万坪の二次林(人工林ではない自然林で、人間が手を加えた森を「二次林」や「三次林」と呼びます)。この森をニコルさんが、昔のこのあたりにあった日本の自然林に復元しようとされています。2002年には「C.W.ニコル“アファンの森”財団」もつくられ、自らが亡くなった後も、この森が心ある日本人の手によって保存されるようにされたのです。

 ニコルさんは、自称「ケルト系日本人」。イギリスの少数民族「ケルト」の末裔でありながら、1995年には日本国籍を取得されました。

 9月12日・13日はあいにくの雨でしたが、森は雨の恵みを受けて嬉しそうに輝いていました。この日同行したのは、「森里海連環塾」の塾生たち。この塾は、屋根に受けた太陽の温かさを家中にまわして暖房や給湯に使う「OMソーラー」の技術を建築に使う工務店の皆さんが、2003年に京都大学が提唱した“森里海連環学”を学んで、「木の文化」を再生してゆこうと始めたもので、不肖私めがその塾長を務めています。

 塾頭は、OM技術を世に広めた「OMソーラー協会」前理事長の小池一三さんで、この方は「近くの山の木で家を建てる宣言」の起草者でもあります。「“近山”運動」と略称されたこの運動は、日本で建てられている木の家の二割にしか使われていない国産材をもっと使おうという、おだやかな間伐推進運動でした。

 日本の山は、材価が下がりすぎたために間伐が進まず、そのため一昨年や今年のような土石流が発生する一因となっています。
 
 OM工務店の人達は、“森里海連環学”に昨年出会って「これからは森のことだけを心配していても間に合わない、森と川と海とのつらなりやつながりを取りもどさなければ…」と思い始めたのでした。

 そこでこの“森里海連環塾”をつくり、第一回の勉強会は高知県仁淀川流域へ、今回の黒姫が第二回、次の第三回は島根県の高津川流域柿ノ木村へと予定しています。森や川や海で生きる達人たちの話を聞き、それを「木の家」に住むことを選択する市民に伝えていこうという試みです。

2006年9月 5日

カンヅメ

saisei060905.jpg
「“林業再生”最後の挑戦」
2006年11月、農山漁村文化協会
※この画像とリンクは、本誌発売後に記事に追加しています。

9月13日までに、250ページの「“林業再生”最後の挑戦」(11月10日に農文協より出版)を書き上げるため、取材に走りまわっています。9月7日から11日(この日は53歳の誕生日なのに・・・)まで自分を高知に“カンヅメ”(どこかに籠もって文章を書き上げること)にしますが、まだ、一字も書いていないのに果たして脱稿にこぎつけられるか。

 目次をとりあえず皆さんにお知らせして、自分を追い込むこととします。

「“林業再生”最後の挑戦」

第1章 “新生産システム”で「山は動く」か?
1.九州から新しい林業の時代が始まる
2.“新生産システム”で林業は再生する
3.中島浩一郎さん・銘建工業代表取締役に訊く
「我々はなぜ“新生産システム”にチャレンジするのか?」
4.“新生産システム”とは

第2章 「林業再生」は“路(作業道)づくり”と“森の団地化(小規模所有者とりまとめ)”から
1.路づくり57年の大橋慶三郎さん(大阪府指導林家)に学ぶ
2.“大橋学校”の生徒たち
・“人工林のふるさと”500年の歴史の吉野で路づくり 岡橋清元さん(清光林業代表)
・持山での路づくりが人生を支えた 橋本光治さん(橋本林業代表)
3.「森林組合」のあるべき姿が、ここにある 日吉町森林組合

第3章 「21世紀の森づくり」を訊く
1.竹内典之(京都大学教授、人工林研究)さんに訊く
「日本の森は今」
2.梶山憲司(富士通総研主任研究員)さんと湯浅勲(日吉町森林組合)さんに訊く
「森林組合建て直しが日本林業再生のカギ」
3.小池一三さん(近くの山の木で家を建てる宣言起草者)に訊く
「忘れちゃいけない、小さな工務店の力」

第4章 動き始めた“緑の時代”
「森の力になりたい」高知県大正町臨時職員・立谷美沙さん
「子供の時からの憧れやった」とされいほく社員・大利猛さん
「“森の番人”の跡継ぎができた」ウッドピアの皆さん
「林業に、誇りをもてる“人育て”」香美森林組合の皆さん
「森をつくる、家づくり」木材コーディネーター・熊口秀一さん
「“くふう”を続ける林業人生」九州に泉忠義あり
「トップが動く」木村良樹和歌山県知事
「北海道の間伐材を建築につかう」ハウジングオペレーションと篠田潤さん

2006年9月 3日

最上・小国川にダムはいらない 5

 「小国川ダム」についてもうけられた最上川流域委員会は、私たち四名から県知事あてに提出した意見書を無視せず、参考資料として委員会でとりあげました。
 以下は、委員会を傍聴した「最上・小国川の“真の治水”を考える会」事務局長の草島進一さん(鶴岡市議)の文章です。一部を転載させてもらいますので、この公共事業についての状況を、皆さんの足元の公共事業解決の参考となさってください。
 
 「最上・小国川の“真の治水”を考える会」のホームページは
http://www.ogunigawa.org/です。

≪以下転載≫

最上川流域委員会について

流域委員会。特に最上小国川の問題について、大久保 山形大学教授は、最上小委員会の報告をおこない、県はあいかわらずの説明。そして公聴会や寄せられた意見の説明を読み上げながらおこなう。また、昨日の夕刻にようやく会で提示する旨を了解した「意見書」については、読み上げず、一言触れただけの対応。

委員会の構成は次のとおり。

青木 孝弘  最上川リバーツーリズムネットワーク 事務局長
阿部 康子  水と暮らしを考える下水道の会 会長
      山形短期大学総合文化学科教授
池田 勝良  山形県土地改良事業団体連合会 会長
大久保 博  山形大学 農学部 教授
大沢八州男 日本野鳥の会山形県支部 副支部長
風間 聡   東北大学大学院 助教授
佐藤 五郎  米沢中央高等学校 教頭
柴田 洋雄  山形大学 理事 副学長
高野 公男  東北芸術工科大学 教授
東 英生  山形の野生動物を考える会 代表
本間義一郎 山形県内水面漁業共同組合連合会 代表理事会長
水戸部知巳 (財)山形県企業振興公社 プロジェクトマネージャー
水戸部浩子 をんな川会議 代表幹事

 委員会の意見としては、野鳥の会の大沢氏が、穴あきダムの環境への影響について真っ正面から問いかけるところからはじまった。県は、「影響は少ないと思われる」などと主張し続けたが、様々な環境への悪影響がある事が表沙汰になった。

 野生動物を考える会 代表の東氏は、ダムを容認し、野生動物に影響のないように環境整備をなどと主張した。

 内水面漁協の代表理事、本間氏は、沼沢組合長と、流域小委員会とで交流や意見交換などがあるかなどと再々にわたり質問。漁協組合連合会の中では、最上小国川ダムの件はしっかりと議論されていないというような発言をされた。

 水戸部知巳氏は、再三にわたり、「水などのダムではなく防災のためのダム。早く結論をなどと主張。とにかく早くダムをつくれ」という主張であった。

 水戸部浩子氏は、「ダムに反対しているのは外部の人たちだけ。地元の人の意向を尊重するべき」などと主張した。この方は、庄内日報紙に、「月山ダム物語」というのを連載し、国土交通省の予算で「月山ダム物語」を出版した庄内日報の論説委員でもある。
   
 公共事業を論ずる委員会などで、結構こういった主張をされる方がいる。「地元の意向」というが、この人がいう地元とはどこなのだろう? 税金を使って豪華なパンフを使って誘導する国、県の意向を鵜呑みにしている地元の人たちではないか。
 結局自分の考えを放棄して「地元の意向を尊重する」などと言っているにすぎない。全くの無責任論である。そして、本当の現場が見えていない。
「月山ダム物語」も、水源の切り替えに悩む鶴岡市民の苦悩などはそっちのけで、国土交通省のダム工事をおこなう人々のみの主張で書いた書籍だった。

 また、「ダムに反対するのはきまって外部の人たちだけ」などといかにも迷惑そうに主張したが、全国的にも有数の清流である山形の川の治水論について、全国的なレベルで、恥ずかしくない最新のデータ、技術、知見にもとづいて、「真の治水策」を議論をすることに、何の問題があるのか。そして、地元に、こうした本質的な議論を通じて、全国的に評判の悪いダムではない、町の持続可能な振興も考えた治水策を求めている方がどれだけいらっしゃるか、こうしたいつも「指定席」に座っているような方々にはわからないだろう。
(中略)

 それと、河川工学者大久保、風間両氏であるが、「小委員会で徹底して議論してきたので、後戻りするような議論はこの場にふさわしくない」などの主張をした。また、「様々な環境への問題については、十分にモニタリングするし、最終的なダムの設計には、この委員会とは別の専門委員会をもうけて設計するし、そこで十分に配慮するから、この場で、もう一度環境の影響について議論することは、やめたい。風間氏は、「大久保先生は、とにかく今回まとめに苦労してきた。」などと擁護し、とにかくダムに依らない治水について、再度議論される事を拒むかのような主張を続けた。県は、河道改修、放水路、ダム案とで徹底協議した結果、穴あきダムというものになっていることを主張した。

 今回、委員長に東北芸術工科大学教授の高野公男氏、副委員長に米沢中央高校教頭の佐藤五郎氏が選任された。高野氏は、最後に「参考資料」として添付された、8月11日の意見書について、「一定の見識のある方から提出された意見書である。」としてこの意見書に書かれた諸問題について。また「真の治水」について議論することはやぶさかではない旨の話をした。それに対し、大久保氏は、「真の治水について議論することはこの会にふさわしいと思うが、具体論をもう一度やることは疑問」と、最上小国川の真の治水策を検討するのは疑問のような姿勢をとった。

 第一回流域員会では、結論はでなかった。傍聴席にいたダム推進派の住民とおぼしき方々は残念そうに立ち去った。県は、11月ぐらいにはまとめたいなどと当初言っていたが、水戸部氏や大久保氏、などから「災害防止のためのダムなのだから、なるべく早く結論をだすべき」などの主張が相次ぎ、結果、この2週間以内に、委員からの意見、質問を募り、県が意見集約。その後に再度委員会を開くということになった。

Profile

天野礼子(あまの・れいこ)

-----<経歴>-----

アウトドアライター。
1953年、京都市生れ。
中、高、大学を同志社で過ごす。
19才より釣りを始め、文化人類学者の今西錦司博士の主宰された「ノータリンクラブ」に属して、国内外の川、湖、海辺を釣り歩く。
26才より小説家、開高健に師事。
1988年には師と共に長良川河口の堰建設反対に立ち上がり、「ダムは不用」の国民世論に育て上げる。
近年は「川を再生するには森を生きかえらせることが必要」と“森仕事”へ視野を広げて、日本の森から材が出る社会システムを作り直すことを各地で提案している。
京都大学が2003年に構築した「森里海連環学」の普及もお手伝いするため、高知新聞社と山陰中央新報社でカルチャー教室「自然に学ぶ“森里海連環学”」を続けている。
2001年より、高知県・仁淀川の源流にも家を借り、有機農業普及のための「高知439国道有機協議会」を07年に立ち上げて、事務局長を務めている。08年7月に養老孟司氏らと「日本に健全な森をつくり直す委員会」を設立した。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
http://www.uranus.dti.ne
.jp/~amago/


長良川河口堰建設をやめさせる市民会議
http://nagara.ktroad.ne.jp/

公共事業チェックを求めるNGOの会
http://kjc.ktroad.ne.jp/

日米ダム撤去委員会
http://damremoval.com/

市民版憲法調査会
http://www.kenpou.com/

-----<著書>-----


『“林業再生”最後の挑戦』
2006年11月、農山漁村文化協会


『だめダムが水害をつくる!?』
2005年10月、講談社+α新書


『「緑の時代」をつくる』
2005年5月、旬報社


『ダム撤去への道』
2004年5月、東京書籍


『日本の名河川を歩く』
2003年7月、講談社+α新書


『市民事業』
2003年4月、中公新書ラクレ


『ダムと日本』
2001年2月、岩波新書


当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.