ホリエモンが現れた時、“ヤッシー”をもてはやしたマスコミは移り身を示しました。登場の晴れやかさ、物議をかもす言動、ルックスが似ている(?)。しかし私は「ちがうのに・・・」と思っていました。しばらくすると、それはバカではない人にはわかる「ちがい」として現れました。ホリエモンが権力(小泉)におもねる人だったからです。哀れなことに、彼は「二股」(民主党にも)を掛ける人物でもありました。それでも、世の中はあれほどもてはやしました。日本とは所詮、その程度の民度なのでしょう。
“ヤッシー”の功績は、「何故、日本が公共事業大国であったのか」の謎を、ダムを通して、誰にでもわかるように解いてみせてくれたことでした。しかも美しい文章で。
「“脱”ダム宣言」はいわく。
「利水・治水等複数の効用をもたらすとされる多目的ダム建設事業は、その主体が地元自治体であろうとも、半額を国が負担する。残り50%は県費。95%に関しては起債、すなわち借金が認められ、その償還時にも交付税措置で66%は国が面倒を見てくれる。詰(つ)まり、ダム建設費用全体の約80%が国庫負担。然(さ)れど、国からの手厚い金銭的補助が保証されているから、との安易な理由でダム建設を選択すべきではない。」
このたった200字の短文で、何故に各県が“治水”をダムに頼っていたかを明白にしてくれたのです。
一昨年夏に日本列島各地で起きた水害は、平野部における堤防破提と、山間部での土石流によるものでした。後者は人工林の手入れ不足が主因。
堤防破提は、県の費用で行われる堤防強化がなおざりになっていたから。国土交通省のダム案がある県では、“治水論”をダムに依存し、“ヤッシー”が指摘したような仕組みでダム案の受け入れをしてきたのですが、ダムには反対が多く計画が進まない間にますます堤防劣化が進み、ついには破提を招いたのです。(ダムはできたとしても治水にとっては小さな効果しか持ち得ません。)
“ヤッシー”は、反権力の旗手としてダムの実態を明らかにした故に寵児となったのでした。それを見放し、“豚児(ホリエモン)”に走って世の中を煽動したマスコミ、そう“あなた”。
反省されていますか?
林野庁の九州森林管理局が、人工林を間伐し、その材を低コストで、しかも安全に市場(しじょう)まで出して使ってもらう手法として、“林内高密度路網”という作業道づくりを進めていると聞き、西都児湯森林管理署・尾鈴国有林の現場を見てきました。
九州森林管理局は、昨年11月7日から9日にかけて延べ350人の参加者を集めて、「低コスト路網整備現地検討会」を開催しています。路づくりの指導をしたのは、高知県大正町の産業課長の田辺由喜男さん。
田辺さんの大正町の路を私は“田辺林道”と呼んでいます。さまざまな小鳥の声がする路だといえばわかる人にはおわかりになると思いますが、人工林を健康にしてくれる路づくりです。そしてこの路をつけると、間伐が「路端(みちばた)仕事」になって、山からいつでも材が出せます。大正町はこれで、町有林経営を赤字から黒字にすることができています。
この路づくりの“元祖”とも言うべき人物は、大阪の指導林家の大橋慶三郎さん(「急傾斜地の路網マニュアル」などの著書がある)。大橋さんは、人工林内の①地層②地質③水脈④その地域での森づくりの特徴、を考慮に入れて、危険のないように路をつけることの重要性を説かれています。
私は、林野庁の国有林の“現場”(の人達)がこの路づくりに注目したことに“小さな希望”を持ちました。
林野庁といえば、心ある森林学者の多くは「林野庁解体論」を唱えられています。私もかつては大規模林道事業に大声で反対していました(今も天然林の不要な伐採は反対)。
確かにわが国は、明治維新時と第二次世界大戦後の大規模人工造林政策においてあやまりを犯しました。また林野庁は独立採算制を取ったがために、三兆八千億円もの赤字を作り(二兆円を国民負担で返したがまだ一兆八千億円残っており、その赤字削減のために山元の営林署で統廃合を進めている)、それを返済するためと称して天然広葉樹伐採のための大規模林道を造り続け、その森林破壊が国民批判の的となっていました。
しかし、“あやまり”は直して前に進めばよいと私は思うのです。
民間から出てきた“人工林を賢く使ってあげて山元に再植林の費用が残る知恵”を使って国産材を使ってゆく“社会システム”を再構築する。日本の杉は今、世界で一番安いという“ていたらく”ですが、それを逆手に取れば、今が日本の材を使う大きなチャンスなのです。間伐をした跡は地域樹種で本来の山の在りようである針広混合林に戻してゆく。
こんなことをやってゆくために、国有林(林野庁)が率先して“森にやさしい”林内路網づくりを広め、民有林所有者の森づくりにも手を貸してゆくモデルとなりたいのだと、九州森林整備局はおっしゃる。
私は、これを応援したいと思います。