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2010年1月11日

「一票の格差」違憲判決 問われる国会議員の役割

 昨年末に自らの不見識を痛感させられることがあった。まるで「あんたは日本国憲法を読んだことがあるか?」と、詰問されたような思いがした。また、現実をただ直視するだけではいけないと、反省もした。歴史的な政権交代をもたらした夏の衆院選での「一票の格差」を問うた、定数訴訟の判決のことだ。  

 大阪高裁は「一票の格差が二倍に達する場合は原則として違憲」との判断を示し、「格差を放置することは立法府として憲法上許されない」と、厳しく指摘した。司法としての毅然たる態度が貫かれていた判決文だった。

 画期的な判決の中でも、浅学非才な当方が驚かされたのが、いわゆる「一人別枠方式」と呼ばれる定数配分についての評価だ。小選挙区300の定数のうち、各都道府県にまず1議席ずつ割り振るものだ。大阪高裁判決はこれを「国会議員を地域代表と理解する(考え方による)もので、全国民の代表とする憲法の趣旨に反する」と、明確に否定したのである。つまり、国会議員は地域住民を代表するものではなく、全国民を代表する存在であると、明言したのである。

 考えてみれば、確かにその通りなのだ。きわめて当たり前のことを指摘したにすぎない。国会議員は国政を担う存在で、国民や国全体のあり方や未来に責任を負うものだ。国全体を視野に入れ、国民全体の幸福追求に寄与するのが、本来の使命である。しかし、そうなっていない現実の姿が余りにも強烈で、こうした原理原則をすっかり見失っていたのである。判決は大事なものを思い出させてくれた。

 いろんな地域の地方議会を取材し続けてきた当方、例えば、各市町村議は自分の地区の問題を各市町村議会で取り上げ(実際は議場外で隠密裏に)、解決に専念するのが主たる役割と認識しているようにしか、思えない。市町村全体への目配せや政策提言は、別な議員の役割となっている。それは都道府県議である。各都道府県議は自分の地元市町村の発展に寄与することを使命とし、各都道府県議会で活動する。当然のことながら、都道府県全体のことは二の次、三の次となる。各都道府県の利益を代弁し代表するのが、各都道府県から選出される国会議員の先生たちのお仕事だ。活躍の場は国会や霞が関、永田町で、彼らの最大関心事は地元や支援団体への利益誘導。国政全般への見識、理念、熱意は残念ながら、今ひとつという人が多い。

 では、日本国民や日本国全体のことは誰が考えているのだろうか?ほんのごく一握りの国会議員や官僚、学者たちが考えているのだろうが、一番はアメリカ政府ではないか。

 しかし、アメリカ政府が日本のことを考えているといっても、それは日本国民や日本のためにではなく、アメリカ政府自らの利益追求のためであろう。日本国民全体や日本の将来のことを親身になって考えてくれる神様仏様のような人は、よその国にそうはいないし、そんなものを当てにすること自体、恥ずかしいことだ。

 結局、有権者が全国民を代表するに相応しい人を国会議員に選ばない限り、日本国民は幸福になれないのではないか。昨年の政権交代は、これまでの面々を国会議員のままにしておいたら、自分たちの生活がますますひどくなってしまうと危機感を抱き、とりあえず別な人に投票しようとなったからではないか。つまり、新しく選ばれた人たちが全国民を代表する国会議員に相応しい人物と判断されたという訳ではなかろう。実際、全国民の代表としてどうなのかという新人議員は少なくない。まるで校長先生や教頭、担任教師の顔色ばかりを気にする集団のような雰囲気さえ、ある。修学旅行で偉い人と記念写真に興じたり、新年会に馳せ参じたりと、新人議員も大変なようだが。しかし、政治家にとって一番の仕事は、はたして、次の選挙に勝つことであろうか?

【関連記事】
衆院選、2倍強の票格差「違憲」(朝日新聞)
一票の格差違憲判断、背景に国民の意識の高まり(産経新聞)

Profile

相川俊英(あいかわ・としひで)

-----<経歴>-----

1956年群馬県生まれ。
早稲田大学法学部卒業。
1992年よりフリージャーナリストに。
1998年から週刊ダイヤモンド委嘱記者に。
地方自治を主なテーマとして全国を取材・執筆、サンデープロジェクトの特集レポーターも務めている。

BookMarks

-----<著書>-----


『長野オリンピック騒動記』
1998年1月、草思社

『ボケボケパラダイス』
1996年12月、筒井書房

『コメ業界は闇の中』
1994年4月、ダイヤモンド社

『東京外国人アパート物語』
1992年11月、新宿書房

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