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« 国内路線ゼロ "国営"茨城空港の本当の狙いは何か
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「一票の格差」違憲判決 問われる国会議員の役割 »

誰のための税金か 茨城空港に群がる「関連工事」

 やることなすことがどうにもちぐはぐで、税金が住民生活の向上に役立っていない。そんな思いを募らせながら、取材現場を後にした。「茨城空港」を訪ねた時のことだ。空港ターミナルビルからの公共交通の便がなく、やむなく車でJR石岡駅まで送ってもらった。

 車は国道355号線を北西へ向かう。その国道の左側に目をやると、廃線となった鹿島鉄道の線路が並走している。2007年3月に赤字のため、沿線住民に惜しまれながら廃止となったローカル線だ。鉾田市と石岡市を結ぶ私鉄で、百里基地の南側を走る。高校生や高齢者といった車を運転できない地元住民の生活の足として利用されていた。

 廃線後は代替バスが運行されているが、便数の減少や渋滞による遅れなどにより、利用者数は鉄道時の4割にまで落ち込んでいる。地域の足を失い、日常的に不便を強いられている住民が間違いなく、生まれている。

 その一方で、新しい滑走路が百里基地内に設置されたのである。本体工事費220億円のうち3分の2が国(国土交通省)負担で、茨城県の負担は約70億円という。また、新滑走路などの維持管理も国が担うため、県にとっては持ち出しの少ないお得な空港という。 

 しかし、来年3月に開港が迫りながら、就航路線はソウル(仁川)便が1日1往復のみ。県は定期便の誘致に必死だが、国内便開設の可能性は限りなくゼロに近い。このため、県はチャーター便を飛ばすことに力を入れ、地元の小美玉市も開港日から韓国と台湾のツアーを6回実施し、ツアーに参加する市民の旅費を一部補助するという。税金を投じて市民に海外旅行をおすすめするというのである。それもこれも「茨城空港」の賑わいを生み出すための窮余の一策だ。

 旅客機が1日1往復しか飛ばない「茨城空港」だが、もろもろの関連工事は盛大に実施されている。旅客ターミナルビルやアクセス道路、1,300台収容の無料駐車場といった空港に必要なものだけでなく、まるで「ついでにこれも」と言わんばかりに事業化したようなものまである。例えば、ターミナルビルの反対側に造成された工業団地「茨城空港テクノパーク」だ。約109億円かけ、37.2ヘクタールを分譲しているが、未だに進出企業はゼロ。空港関連の道路の建設費は合計で約94億円にのぼる。また、約30億円のカネをかけて空港公園なるものまで造られている。業者にとってはまさにホクホクものだが、一体、誰が利用するのだろうか。旅客ではなく、関連工事を呼び込む空港建設といった方がよいかもしれない。

 ところで、「茨城空港」は交通の便が悪く、空港ターミナルビルまで旅客を運ぶ公共交通は現在、ない。これまで一番、近い最寄駅といえば、鹿島鉄道の常陸小川駅だったが、それも2年前の廃線でなくなっている。県は今後、主要駅からの空港直行バスを予定しているというが、旅客機が1日1便では運行するバス会社も大変だ。おそらく、税金による補てんなどがなされるに違いない。

 こうした公共交通のアクセスの悪さも考慮したのだろうか。鹿島鉄道の鉄路を利用したバス専用道路化事業が進行中だ。廃線となった線路を道路に変え、バス専用道として利用するというものだ。石岡市が市道として整備し、2010年の運用開始を目指している。計画区間は石岡駅から旧常陸小川駅間の7.1キロ。石岡市は専用道化により渋滞が回避され、定時性が図られ、所要時間も現在の代替バスの20分〜25分が16分〜20分と5分ほど短縮されるという。高校生などの沿線住民の利便性が向上し、かつ、茨城空港への利便性向上とPR効果があると事業効果をうたっている。

 しかし、どうにも腑に落ちない。そもそも空港公園や企業団地造成などに税金を投じるよりも、鹿島鉄道の存続などに税金を使った方が地域住民のためになったのではないか。また、税金を海外ツアー旅行への補助に使うよりも、優先すべきことがあるのではないか。

 税金の使い方があまりにもズレてはいないか。

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今日、茨城空港滑走路に欠陥(滑走路に金属片混入)あり報道を聞く。
また、税金の投入?

損害賠償請求するのかな?

なんともはや、あきれることばかり、少しはましな、業者が施工していると思いきや・・・。

平成の民衆蜂起様

そりゃあ空港より絶対バスです。その方がお年寄りも学生も助かります。少ない経費で住民に喜ばれます。ふざけきった土建行政に文句を言わない住民もどうかしてます。この正反対にあるまじめな行政例も機会があればご紹介いただけませんか。

ところで、萩市にある吉田松陰の墓を30年ほど前のお盆休みに訪ねていったのですが、掃除もされず荒れ放題で驚きました。墓地の近くには岸信介ら山口県の政治家たちのでかい銅像がそびえ立っているのにです。そのとき長州閥の実像を垣間見た気がしました。安倍真三も禿毛田信吾も長州閥。こいつらは偉人や天皇を利用するだけの存在だとあらためて思う今日この頃です。

この記事を読むと、政治とは一体だれのためにあるのかと思います。
与党三党の政策要望に整備新幹線の推進と言うのが入ってたと思いますが、土建屋が潤い地域住民にしわ寄せがくると言うここの記事と同じ結果になると思います。
来年の参議院選挙に本当に有効なのだろうか。少なくとも私はがっかりしています。
まだ先の参議院選挙より地域の声をもっと大事にしてほしい。

莫郎さまへ

 了解いたしました。今後は少しでも元気が出るような事例も紹介してまいります(そんなにないのですが)。

 ところで、明日のサンプロで「ナゴヤ庶民革命」を特集いたします。ご覧いただけたら、明るい気持ちになれるかと思います。

これはもう話が進んでいて、止めるのは難しいですよね。
常磐高速を無料化すると価値がかなりでてくる可能性がありますが、果たしてどうか。


<相川様>
上記の様なお返事をしてくださる相川さんはお人柄が素晴らしいと思います。このサイトに板を立てている著名な方で、お返事を下さる方は、高野さんを除いては殆どいらっしゃいません。せっかく双方向のインターネットメディア、筆者とコメンテーターの前向きな議論が活発化することを望みます。
さて、民主党の政策でひとつだけ判らない事があります。高速道路の無料化は地方経済に格段のインパクトを与える事は理解しています。
その上で、公共交通機関の整備に乗り出さないことが不思議でなりません。相川さんご指摘の鹿島鉄道問題、空港公園を造るより余程住民にとって大切なのは、誰もが判る事です。しかも、同種の問題は日本各地でおきているのです。
整備新幹線にしても住民にとっては欲しいのでしょうが、引き換えに在来線が三セクになり利用料金が跳ね上がるか、廃線になる事で日常生活が大きな影響を受けるのですから、そこを手配しない理由が判りません。環境対策面でも有効な施策に成り得るのにも拘わらず、です。
まあ、道のりは果てしなく遠く、地域主権とはいいつつ、地方議員や首長の殆どが自民・公明であり、民主党の地方組織は連合頼みで、しかも連合は茨城空港も静岡空港も推進派です。
真に住民サイドに立つ体制作りを民主党政権で成し遂げるには、連合に頼らない地方組織の強化→地方議会及び首長を民主党会派にする→地域主権の確立といった道程が必要です。
公共事業頼みの地方経済の脱公共事業も必要です。
果たして私がボケる前に実現するのか?厳しいかなぁ~。

ここのところ相川様の空港取材でも解る様に地方が暮らしにくくなっています。小生も東京から故郷にたまに行くのですが、電車は1時間に1本、路線バスは無くなり、高齢者もクルマなしでは相当不便になっています。茨城空建設時もその地には高齢者も増えているのに、その生活から利便性を奪ってしまった中で、政治家は無駄な空港建設に走っている。県民無視の行政はこれからの時代にはそぐわない事ですね。地方自治を謳う首長、地域の生活の為の県政をやらずして地方自治の意味は無い、自治体の赤字補填に予算を引っ張るのはやめて欲しいですね。

平成の二十一回猛士様

お返事ありがとうございました。明日のサンプロ見させていただきます。私は河村市長の自治体論、極めてまっとうだと感じています。あの下品な名古屋弁さえなければもっと人気がでるでしょうに。南利明の「ハヤシもあるでよ」を地でいく人なんて今時NHKドラマ以外ではあの人だけだろう、と感じる今日この頃です。

自治体管理空港:黒字わずか4カ所 「採算度外視」響く
http://mainichi.jp/select/today/news/20091219k0000e040052000c.html

こと惠美様

暖かいサポートありがとうございます。支持率激減の頁に「所得制限はやっかいだぞ」の書き込みしてますので、お暇なときにでもまたよろしくお願いします。

平成の庶民革命様

サンプロの河村市長特集は見応えがありました。河村さんの改革はどうもできそうな予感がしました。市民サポーターたちは利権にしがみつく市議会が河村市長に抵抗すればするほど、活気付く感じですね。もっと揉めたら無関心層が目覚めて市民サポーターの輪が広がっていく。議員の特権を奪うとともに校区単位の地域ボランティア委員会を発足させたら更に面白いことが起こる。ボランティア委員の方が既存の議員より熱心に働く姿を市民は目にすることになる。そうなれば河村さんと庶民の勝ち。後はボランティア委員を次の議員候補にしてもいいし、自治法203条の改正に持ち込んで議員報酬をなくしてもいい。

無給か薄給の立場でこそ議員は市の行政にズケズケ文句が言えていい提案ができる。腐った市職労を叱り倒すこともできる。これぞ「平成の草莽崛起」ではありませんか!ナゴヤシミン様はじめ名古屋の皆様、燃えてください。市民が火の玉となって怒り狂うなら回天の業は成るのです。いい改革だ。

>em5467-2こと恵美さまへ

いつも当方の拙いブログをお読みいただきありがとうございます。そして、あたたかいコメント、恐縮至極です。
とんでもない現実を直視する取材の連続で、萎えてしまいそうな当方の気持ちを奮い立たせる力をいただい
ております。本当に感謝しております。

>莫郎さまへ

仰る通りだと思います。当方も、ナゴヤの庶民革命は「平成の草莽けっ起」だと感じております。

<相川様>
私のつたないコメントにお返事を頂き、感謝感激です。
これからのご活躍を期待しています。
<莫郎様>
支持率の板の私なりの見立てを書きました。本編に関係ない書き込みをお許しください。

ナゴヤ庶民革命
河村市長の目玉公約の市民税の減税が一時は絶対通りそうもないという印象でしたが、ようやく実現できそうで嬉しい限りです。
市長の市議会改革の条例案が功を奏したと言うことでしょうか。
市議会も少しづつ変わってきてほしいものです。

鳩山総理は、河村市長の頑固さを少しは見習い、不退転の決意で国政に臨むべきだ。

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Profile

相川俊英(あいかわ・としひで)

-----<経歴>-----

1956年群馬県生まれ。
早稲田大学法学部卒業。
1992年よりフリージャーナリストに。
1998年から週刊ダイヤモンド委嘱記者に。
地方自治を主なテーマとして全国を取材・執筆、サンデープロジェクトの特集レポーターも務めている。

BookMarks

-----<著書>-----


『長野オリンピック騒動記』
1998年1月、草思社

『ボケボケパラダイス』
1996年12月、筒井書房

『コメ業界は闇の中』
1994年4月、ダイヤモンド社

『東京外国人アパート物語』
1992年11月、新宿書房

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